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風車そば(かざぐるまそば)
岐阜県内の山あいの市にある、昭和の駅そばの雰囲気を残した小さな立ち食いそばの店。かけそばやかき揚げをのせたそばを手早く出し、通勤や通学の人、職人、旅の人が短い時間で一杯を楽しめる。
概要
風車そばは、岐阜県内の山あいの市にある、小さな立ち食いそばの店です。座れるのは、壁ぞいのカウンターに5〜6人ほど。昭和の駅そばの雰囲気をそのまま残した店構えで、通勤や通学の人、作業着姿の職人、旅の途中の人が、短い時間で一杯をすませに立ち寄ります。派手な看板やメニュー写真はなく、券を買って、湯気の向こうの調理場に渡すだけの、簡素なつくりです。職場の近くにあるため、昼どきには作業場から歩いて来る人の姿も目立ちます。
沿革
店のもとは、町なかにあった料亭が、鉄道の開業から間もない明治30年代に始めた駅弁の商いだといわれます。旅客に弁当とお茶を売る仕事から始まり、長く駅の食の担い手でした。昭和50年代に駅舎が建て替えられたのをきっかけに、いまの場所で駅そばの営業を始めました。以来、50年近く同じ店構えで、親子二代、三代にわたって通う客も少なくありません。店の奥では、いまも駅弁づくりの流れをくむ仕込みが続けられ、朝いちばんの電車に間に合うよう、早い時間から湯気が立ちます。
メニューと味
メニューは、そばとうどんが中心です。かけが380円、天ぷら・とろろ・山菜が500円、玉子が430円と、外食の相場より少し安い値段でした。かき揚げは、さくさくというより、つゆを吸ってほろっと崩れるタイプで、かけそばにのせて食べる人が多くいます。つゆは、かつおがよく効いた濃いめのだしで、玉子や天ぷらとよく合います。そばは細めで、駅そばらしいやわらかさがあります。酒のカップは330円で、昼どきには一杯やっていく客もいます。雨の日や寒い日には、熱いつゆを求めて訪れる人が増えますが、天気の悪い日は客足が落ちると、店の人が話すこともあります。そんな日は、ねぎを多めに入れてくれる心づかいもあります。
店のつくりと使い方
店は、駅の改札の外にある待合室の側からも、改札を通らずにホームの側からも入れる、二方向の入口をもっています。電車を待つあいだに食べ終えられるよう、注文から提供までがとても早いのが特徴です。入口の近くに食券の機械はなく、代金を渡して注文を伝える昔ながらの形で、店の人とのやりとりも気軽です。時間がないときのために、持ち帰り用の容器に入れてもらうこともできます。カウンターの上には七味と箸が置かれ、食べ終えた器は自分で返却口へ戻すのが決まりです。
営業時間と所在地
店は、山あいの市の駅構内にあり、朝の通勤時間から夕方まで開いています。電車の本数が限られる土地柄、列車の発着にあわせて客が波のように訪れ、昼どきと夕方の帰宅時間が特に混み合います。定休日は設けず、年末年始など一部の日だけ休む形です。市の中心から少し離れた場所にあり、駅の周囲には作業場や小さな商店が点在しています。
地域とのかかわり
風車そばは、観光客向けの名物というより、土地で働く人の日々の昼ごはんとして親しまれてきました。大工や職人、学生、買い物帰りの人など、さまざまな人が肩を並べて、同じ一杯を立ったまま食べます。弁当を忘れた日や、仕事帰りにひと息つきたい日に、ふらりと寄れる気安さが、長く愛されてきた理由です。駅とともに歩んできた店として、町の朝夕の風景の一部になっています。