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風越墓地(かざこしぼち)
奈覇市の住宅地を見下ろす丘の斜面にある市営の共同墓地。1950年代に都市計画の一環として設けられ、墓地区画と納骨堂を備える。春の清明祭(シーミー)の時期には、重箱を持った家族連れが墓参りに訪れる。
概要
風越墓地は、沖縄本島の奈覇市にある市営の共同墓地である。住宅地を見下ろす丘の斜面に広がり、墓地区画のほか、納骨堂、参拝室、管理事務所を備える。総面積は約1.2ヘクタールで、都市の中にある墓地としては比較的まとまった広さをもつ。春の清明祭(シーミー)の時期には、重箱を持った家族連れが墓参りに訪れ、ふだんは静かな丘が一年でもっともにぎわう。
所在地とアクセス
奈覇市の中心部から近い丘陵地にあり、周囲は古くからの住宅地である。多くの参拝者は自家用車で訪れ、清明祭の時期には墓地の周辺の道が混み合う。斜面に沿って園路が通り、区画ごとに階段や坂道で上り下りする。丘の上からは住宅地の屋根が広く見渡せ、風の通りがよい場所でもある。
歴史
風越墓地は、1956年に都市計画の一環として整備された。市街地が広がるなかで、個々の家が散らばって持っていた墓を一か所にまとめ、計画的に管理する目的があったとされる。その後、需要に応じて地区を増やしてきた。
- 1968年:E地区が築造される
- 1969年:A地区が築造される
- 1979年:B地区が築造される
- 1982年:C地区が築造される
- 1985年:D地区が築造される
墓地区画は5つの地区に分かれ、最も広いA地区だけで約7,300平方メートルある。そのほかの地区は、B地区が約980平方メートル、C地区が約1,790平方メートル、D地区が約430平方メートル、E地区が約800平方メートルである。
施設と特徴
墓地区画は全体で739区画ある。あわせて延べ約900平方メートルの納骨堂があり、納骨室は4,424室を数える。墓を継ぐ人が少なくなったり、遠方に暮らしたりする家が増えるなかで、納骨堂は墓の管理の負担を軽くする場として使われている。参拝室では、雨の日でも線香や花を供えて手を合わせることができる。
区画の墓はそれぞれ家の単位で守られ、墓の前に広い庭のような空間をとる造りが多い。これは、親族が集まって墓前で食事をともにする習わしと結びついている。
行事と利用
春の清明祭は二十四節気の清明のころに行われ、親族が墓の前に集まる行事である。事前に墓のまわりの草を刈り、掃除をしたうえで、線香を立てて手を合わせる。重箱には、かまぼこ、天ぷら、昆布、煮しめなどが詰められ、先に供えたあとで、みなで分け合って食べる。日程は家ごとに決められ、平日にあたる年は、前の週末に繰り上げる家も少なくない。この時期は、朝から家族連れが墓地を訪れ、風や小雨のなかでも傘を差して拝む姿が見られる。
ふだんは、月命日や彼岸の墓参り、納骨の法要などに使われる。区画の使用には市への申請が必要で、使用者は管理料を納める。
周辺
墓地のまわりには住宅地が続き、坂の下には学校や商店が並ぶ。丘の斜面の緑は住宅地の景観の一部となっており、散歩の途中に園路を歩く人もいる。
地域とのかかわり
風越墓地は、奈覇市の暮らしのなかで、先祖を敬う習わしを支える場所である。清明祭のたびに、離れて暮らす親族が一か所に集まり、墓前で食卓を囲む。そうして、世代を越えて家族のつながりを確かめる場として、長く使われ続けている。