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恵昌寺(えしょうじ)

別名: 景湾山恵昌寺、山ノ崎の恵昌寺

掛野市の山ノ崎地区、山すその高台にある江戸時代創建の浄土宗の寺。檀家は約300軒で、かつて入り江を望んだ景色と、城主の墓塔で知られる。

概要

恵昌寺(えしょうじ)は、静岡県掛野市の山ノ崎地区、山すそに建つ浄土宗の寺である。山号は「景湾山(けいわんざん)」。檀家はおよそ300軒で、地区の家々の葬儀や法要、墓参りを受け持つ菩提寺として、長く地域の暮らしと結びついてきた。落ち着いた境内と古い墓塔が残ることから、土地では「遠州の小高野」とも呼ばれてきた由緒ある古刹である。

所在地とアクセス

寺は掛野市の山ノ崎地区にあり、背後に低い山が迫り、前面には開けた土地が広がる。かつては境内の西側が入り江に面しており、海と山を一望できる風光明媚な場所として知られていた。山号の「景湾」は、この眺めにちなむとされる。現在、入り江は陸地となり、周囲には住宅や田畑が広がっている。

車では、高速道路の掛野インターから約15分。境内には駐車場があり、参拝は無料である。最寄りの駅からは距離があるため、訪れる人の多くは車か地区のバスを使う。

歴史

江戸時代の初めに、城下の領主の帰依を受けて創建されたと伝わる。寺名の「恵昌」は、浄土宗の教えを広めた経典や、極楽往生を説く書物の精神に由来するといい、念仏の教えを恵みとして栄えるようにとの願いが込められている。

江戸時代には、寺が檀家の戸籍にあたる帳簿を管理し、地域の人びとを檀家として葬祭と法要を通じて結びつける役目を担った。城下の領主が代々この寺を菩提寺のひとつとしたため、境内には領主一族にかかわる墓所が営まれ、藩の保護を受けて堂宇が整えられた。明治以降は檀家制度が法的な位置づけを失ったが、寺と家との縁は続き、現在の檀家数に至っている。

境内と見どころ

境内でもっとも目を引くのは、高さ約4メートルに及ぶ城主の墓塔である。石を積み上げた大きな塔で、戦国から江戸へ移る時代の歴史を今に伝える貴重な遺産として知られる。

本堂は阿弥陀如来を本尊とする浄土宗らしい造りで、本堂のほか庫裏、鐘楼などが山すその地形に沿って並ぶ。参道は緩やかな坂で、季節の木々が境内を包み、春には新緑、秋には落ち葉が静かな景色をつくる。本堂の裏手の斜面には、檀家の墓地が段になって広がっている。

行事と地域とのかかわり

浄土宗の寺として、年間を通して念仏の法要が営まれる。正月の修正会、春秋の彼岸会、お盆の施餓鬼会、晩秋の十夜法要などが主な行事で、十夜には檀家が集まって念仏を唱える。

法要のほか、墓参りの人や、城主の墓塔を見に訪れる歴史好きの人も多い。掛野市には製茶の会社や寺が多く、地域の行事の折に境内が使われることもある。お茶の産地らしく、法要のあとにはお茶が振る舞われる。寺は信仰の場であると同時に、檀家どうしが顔を合わせる集まりの場にもなっている。

周辺

寺のまわりは、山すその静かな住宅地と茶畑や田畑の風景が続く。かつての入り江の名残をたどりながら歩くと、高台の寺から地区全体を見渡せる。市内の中心部へは車で短時間であり、日々の暮らしと古い歴史が近くにある土地である。

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