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掛野市(かけのし)
静岡県西部にある、茶の産地として知られる人口約11万人の城下町の市。復元天守のある城、新幹線駅、製茶・繊維・楽器などの工業、山ノ崎の古い寺をあわせもつ。
概要
掛野市は、静岡県西部(遠州地方)にある人口約11万人の市です。南北に約30km、東西に約16kmと縦に長く、北は山あいの茶畑と温泉、中ほどは城下町の市街地、南は台地と平野が広がります。市域は約270km²で、深蒸し煎茶の産地として全国に知られ、製茶会社(朝霧製茶株式会社など)や繊維会社、古い寺(恵昌寺など)が市内に点在しています。
地理と市域
市の南東には広い台地が続き、台地の斜面に茶畑が段々に連なります。北部は山すそから山地に入り、谷沿いに集落と小さな温泉があります。市街地は中央の城下町を核に、駅の周辺へ商店と住宅が広がっています。南部の海に近い一帯は、かつて別の町だった地域で、台地と海岸平野の農業が営まれています。
歴史
戦国時代の末、1590年に新しい城主が入って城下の整備が進み、1596年ごろに城が完成しました。江戸時代には、掛野藩の城下町であるとともに、南部の別の藩の城下町も市域にあり、東海道の宿場として人と物が行き交いました。昭和の市制施行ののち、2005年4月1日に、旧掛野市と東隣・南隣の2つの町が合併し、現在の市域になりました。城は1994年に木造で天守が復元され、城下の町並みづくりの核になっています。
産業
茶は市の看板の産業です。蒸し時間を長くした深蒸し煎茶が主力で、地域の団体商標に登録され、品評会の産地賞も重ねてきました。茶畑から荒茶を仕入れ、仕上げて販売する製茶問屋が多く、輸出向けの抹茶原料の生産も増えています。工業では、繊維、機械、通信機器、化粧品、ピアノなどの楽器が盛んで、年間の製造品出荷額は1兆円規模、県内でも上位です。農業ではメロン、いちご、トマト、バラ、芽キャベツなども育てられています。
見どころ
復元天守のある城と城下の通りは、市の観光の中心です。市内には、山すその高台に建つ江戸時代創建の浄土宗の寺・恵昌寺のような古い寺社が多く、日用品や手芸用品を長く商う鍛冶屋商店のような小さな店も、寺の近くに残っています。ほかに、広い総合運動公園、鳥と触れ合える施設、北部の温泉などがあり、日帰りの観光客も訪れます。
交通
新幹線の駅が1988年に開業し、市は東京と大坂の中間の「途中下車の拠点」になりました。高速道路のインターは1993年に供用が始まり、掛野インターとして県西部の物流を支えています。民営の鉄道会社の本線が市内を東西に通り、北部の山すそには第三セクターの小さな鉄道が走って、沿線の茶畑と集落を結んでいます。
行事と暮らし
秋には城下町の祭りがあり、各町内の山車や屋台が曳き回されます。春から初夏にかけては、新茶の季節に茶摘みと製茶の風景が市内に広がり、茶畑のそばを歩く人も増えます。市民の暮らしは、茶と工業、城下町の商店街と、新しい住宅地の三つの顔に支えられています。