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日灘市(ひなだし)
宮崎県南部の海沿いにある、杉と漁業で知られる城下町のまち。春と秋には球団のキャンプが行われ、にぎわう。
概要
日灘市は、宮崎県の南部、太平洋に面した海沿いのまちである。人口は約4万5千人、面積は約535平方キロメートルで、人口密度は1平方キロメートルあたり80人ほどと、海と山が広い面積を占める。江戸時代には藩の城下町として栄え、「南国の小京都」とも呼ばれる。杉の産地、カツオなどの漁業のまち、そして春のプロ野球キャンプのまちという、三つの顔をもつ。
地理とアクセス
東は海に開け、海岸線に沿って国定公園に準ずる景勝地「日灘海岸」が続く。西側には山地が連なり、杉の人工林が広がる。海と山のあいだの狭い平地に市街地と集落が点在している。
鉄道は、民営の鉄道会社の路線が海沿いを南北に結び、週末や休日には観光列車が走る日もある。県庁所在地の宮咲市からは、道路でも鉄道でも1時間ほどである。
歴史
江戸時代、このあたりは城下町を中心に藩が治め、町人地と武家地が整えられた。港のある町は、藩の物資を運び出す拠点であり、藩主の命で堀割の運河が開かれて、木材や海産物の輸送を支えた。
大正から昭和15年ごろまで、港はマグロの水揚げ量が日本一を誇った時期があり、遠洋漁業の基地として栄えた。昭和27年には重要港湾に指定されている。
市は昭和25年(1950年)、4つの町が合併して発足した。名前には、日の昇る方角と、南の地という意味が込められている。
産業
林業では、粘りがあり油分を多く含む「灘杉」が特産で、古くは造船材や樽材に使われた。現在は建築用の製材や建具に用いられ、灘杉木材株式会社 のような製材会社も、市と同じ名を冠した杉を扱っている。
漁業では、カツオの一本釣りの水揚げが全国でも指折りで、釣った魚を港で手早くさばき、藁でいぶす「たたき」にして出す食文化が根づいている。この漁法と地域のつながりは、国の農業遺産としても認められた。
工業では、市内の臨海部に大手製紙会社の工場があり、紙の生産が雇用を支えている。
見どころ
城下町の旧市街には、復元された大手門と城あとが残り、武家屋敷の通りと石垣、白壁の町並みが、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれている。
海沿いには、断崖の洞窟に本殿をおさめた「鵜渡神宮」があり、安産や縁結びの神として知られる。海岸線には、奇岩の並ぶ「鬼の洗濯板」状の岩場や、波がつくる景色を楽しめる展望地が点在する。港の近くの堀割運河では、杉の筏を浮かべた歴史を伝える散策も人気である。
行事と球団キャンプ
2月は、市内の球場や運動公園で、広洲の球団と埼玉の球団が春季キャンプを行う。ほかに秋にもキャンプがあり、全国から見学のファンが訪れる。この時期は宿や飲食店がにぎわい、まち全体が活気づく。
城下町では、春と秋の祭りで、武家の行列や伝統の舞が披露される。港では、カツオの水揚げ解禁にあわせた市が立つ。
暮らしと周辺
市街地は、城下町、港町、新しい住宅地の三つの区域に分かれ、それぞれに商店街や学校がある。海産物と杉を生かした食と工芸が、土産物としても親しまれている。周辺には、県南部の山あいの町や、同じ海岸線を共有する漁港のまちが続き、観光周遊の拠点になっている。