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出沢市(いでさわし)
鹿児島県の北西端にあり、冬になると田んぼや干拓地に数多くの鶴が渡ってくるまち。昭和29年に市となり、平成18年の合併で現在の姿になった。
概要
出沢市は、鹿児島県の北西部、県の最北端に位置する市です。北は隣の県の市と接し、西は内海に面しています。面積は約330平方キロメートル、人口は約5万人で、平野部に市街地と農地が広がり、東側には山地が連なります。冬になると田んぼに鶴が来るまちとして広く知られ、毎年10月から3月ごろにかけて、国内最大級の鶴の越冬地としてにぎわいます。
地理と自然
市の西側は内海に面した低地で、干拓によって広げられた農地が続きます。冬の鶴は、この干拓地の田んぼや水辺で羽を休めます。市の東部には山地が控え、市街地は山と海にはさまれた平野に位置します。気候は温暖で、冬も雪は少なく、その気候が柑橘類の栽培や鶴の越冬に向いています。
歴史
市域には、江戸時代に藩の外城(地方の統治拠点)が置かれ、武家の町並みが整えられました。その名残として、石垣と生け垣に囲まれた武家屋敷が残る「出沢麓」と呼ばれる一帯があります。昭和29年(1954年)4月に、出沢町と隣の町が合併して市制が施行されました。さらに平成18年(2006年)3月に、野ノ田町と高尾ノ町を編入して、現在の市域になりました。平成16年(2004年)3月には九州の新幹線が全線開業し、市内の駅から県都の中心駅まで約24分、熊本の駅まで約30分で結ばれるようになりました。
鶴の越冬地
出沢の平野には、毎年10月から3月にかけて、ナベヅルとマナヅルを中心とした鶴が渡来します。ナベヅルは世界の総個体数の約9割、マナヅルは約4割がここで冬を越すとされ、近年の平均では、ナベヅルが約1万600羽、マナヅルが約2,800羽にのぼります。飛来地は国の鳥獣保護区に指定され、干拓地にある2か所の給餌場では、越冬期間を通して餌やりが行われています。
鶴のねぐらや給餌場の周辺には観察施設が設けられ、市内の施設では鶴の生態や保護の歴史を学べます。この越冬地は令和3年(2021年)にラムサール条約の登録湿地となり、令和4年(2022年)には、市がラムサール条約湿地自治体に認証されました。一か所に鶴が集中することから、伝染病の発生を防ぐための分散化や、ねぐらの環境整備が、長年の課題として取り組まれています。
産業
農業が盛んで、みかんなどの柑橘類、大豆、スナップえんどう、たばこの栽培が知られます。冬の田んぼでは鶴と農家の暮らしが重なり、鶴に配慮した農地の管理も行われています。また、焼酎づくりも根づいていて、市内には地元の農協や酒造会社があります。
交通
九州の新幹線の駅と、第三セクターの鉄道会社の線が市内を通ります。新幹線の開業により、県都や熊本方面への行き来が便利になりました。道路は国道が南北に通り、自動車道のインターも近く、隣県との往来にも使われます。
市内の暮らしと公園
市内の住宅地には、ベンチや遊具を備えた小さな公園があり、kamome-koenもそのひとつです。また認定こども園のtsubamedai-kodomoenなど、子育てを支える施設も、まちの暮らしを形づくっています。
観光と行事
鶴が飛来する冬は、市が最もにぎわう季節です。早朝にねぐらから鶴が飛び立つ光景を見ようと、全国から写真愛好家や観光客が訪れます。武家屋敷の町並みを歩く散策と組み合わせて訪れる人も多く、鶴の保護を呼びかける催しや、観察会も開かれます。