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伊万野市(いまのし)
佐賀県西部にあり、天然の良港である伊万野湾に面した市。江戸時代から肥前の磁器を積み出した港として栄え、現在も山あいの窯元の里と臨海部の産業が並び立つ、焼き物と港のまち。
概要
伊万野市は、佐賀県の西部に位置し、天然の良港である伊万野湾を抱える市です。人口は約5万人、面積は約255平方キロメートルで、焼き物のまち、そして港のまちとして知られています。江戸時代には肥前の陶磁器を積み出す港として栄え、現在は造船、半導体、木材などの産業が集まる臨海部と、窯元が並ぶ山あいの里という、二つの顔をあわせもっています。
地理と交通
市域は北部九州の西部にあり、北側は湾に面し、内陸には山あいの谷が広がります。市の玄関口である伊万野駅から、窯元の里までは車でおよそ15分で、バスも通っています。高速道路を使う場合は、西国方面の道路の東府中側のインターチェンジから車で約20分、長崎方面の道路の武雄北方側のインターチェンジから約30分です。港は九州でも有数の国際コンテナターミナルを備え、アジアへの玄関口の役割を担っています。海に近い平地には市街地が広がり、谷あいには川沿いに集落や田畑が点在して、海と山の景色がほどよく近いことも、このまちの暮らしやすさにつながっています。
歴史
江戸時代から18世紀にかけて、肥前でつくられた磁器は、伊万野の港からヨーロッパなど遠くの国まで運ばれました。この港は焼き物の売買の市場、積み出し港として指定され、「伊万野焼」の名で広く知られるようになりました。大正時代以降は石炭産業が盛んになり、石炭の積み出し港としてもにぎわいました。昭和26年には国の海上輸送網の拠点となる「重要港湾」に指定され、昭和29年に市が誕生しました。その後は石炭から造船や機械、電子部品などへと産業の中心が移り、港も貨物の種類を広げながら現在の姿になっています。
秘窯の里と焼き物
市内の山あいの谷は、「秘窯の里」と呼ばれます。江戸時代、佐賀の藩が最高級の磁器「鍋島」を、費用にかまわず焼かせた藩の窯があった場所で、腕のよい職人が集められ、技が外へもれないよう関所が置かれて厳しく管理されました。三方を高い岩の壁に囲まれた地形は、外から人が入りにくく、秘密を守るのに向いていたといわれます。現在も谷には30軒ほどの窯元が集まり、青く繊細な絵付けの食器や花器、置物などがつくられています。窯元の通りには煙突や登り窯の跡、焼き物の破片を塗り込めた塀が残り、歩いて見て回る人でにぎわいます。
見どころと行事
窯元の里では、春に陶磁器を売る催しが開かれ、全国から多くの来場者が集まります。夏には風鈴を飾る催しがあり、谷全体に涼しげな音が響きます。街なかには、焼き物の問屋が並んでいた古い通りがあり、焼き物にまつわる店や資料館が点在しています。港の周辺では、海を眺める散歩や海産物の食事も楽しめ、焼き物の見学とあわせて訪れる人も少なくありません。市内には、陶磁器や食器の卸売、ネット通販を営む彩窯商事株式会社のように、焼き物の流通を担う会社もあります。
産業と暮らし
臨海部には造船所や機械、木材加工、半導体関連の工場が立ち並び、港の物流とともに市の経済を支えています。一方、山あいでは窯元に加え、農業や果樹栽培も行われ、焼き物と一次産業が地域の暮らしに根づいています。学校や病院、商店などの生活の機能は市街地に集まり、窯元の里へは日帰りで気軽に行ける距離にあります。焼き物の伝統に新しい産業が重なって、歴史と現在のにぎわいが同じまちの中で息づいているのが、伊万野市の特徴です。