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一石亭(いっせきてい)
喜多原市内にある、年配の常連が多い小さな碁会所。席料を払えば誰でも打て、受付で棋力を確かめたうえで、置き石のハンデをつけて相手を組んでくれる。
概要
一石亭は、喜多原市内にある小さな碁会所である。客の多くは年配の常連で、お茶を飲みながら静かに碁盤を囲むのが、ふだんの店のようすである。囲碁を打てる人なら誰でも入ることができ、受付で席料を払えば、その日のうちに相手を組んでもらって対局できる。店の名前の「一石」は、碁石の一つを指す。一手ごとに石を一つずつ置いていく囲碁の基本にちなんだ名前である。
所在地と店のつくり
店は喜多原市の市街地にあり、蔵とラーメンで知られる盆地のまちの、日々の暮らしの中に溶け込んでいる。店内は畳やじゅうたんの床に、脚つきの碁盤や卓上の碁盤が、間をあけて並ぶ。混んでいなければ、一局ごとに盤を一面ずつ使える広さがある。入口の近くに受付があり、店番の人が席料を受け取ったり、対局の相手を決めたりする。奥には湯のみとポットが置かれ、客は自分でお茶をいれて一息つける。冬は雪が多い土地なので、暖房の効いた店内は、雪の日の昼の過ごし場所にもなっている。
利用のしかた
席料は1回500円である。初めての客は、受付で「何級か」「何段か」と棋力を聞かれる。自分の棋力がわからない初心者には、店番の人が手合いを見立て、9子などの置き石をつけて、常連と打てるようにしてくれる。置き石は、力の差がある二人が、ほどよく勝ち負けを争えるようにするハンデのしくみである。打ち始めの前に、弱い側が盤上の決まった点(星)に、何子かの黒石をあらかじめ置いておく。対局は一局ずつ区切って、相手を替えながら何局か続けて打つのがふつうで、半日のうちに3局ほど打っていく客もいる。勝ち負けの結果によって置き石の数を増やしたり減らしたりして、次の手合いを決める。
客層と店のようす
常連は、長年碁を打ってきた年配の人が中心である。平日の昼間から顔を見せる人も多い。対局中の店内は、碁石を盤に打つ音と、ときどき交わされる短い言葉のほかは静かである。大きな声を出すと、となりの盤の人が振り向くほどだ。一方で、初心者を嫌がる雰囲気はない。囲碁を始めて間もない人や、学校の部活動で碁を覚えた生徒の指導にあたる大人などが、思い切って訪ねてくることもある。負けた碁を終局後にもう一度並べ直し、「ここはこう打つべきだった」と常連が手を教えてくれることもある。こうした検討が、上達の近道として大事にされている。
地域とのかかわり
喜多原市では、中学校の囲碁・将棋部の生徒が、春の大会などに出場している。囲碁を学ぶ人は、ネットの対局で一手30秒といった早い碁を打つこともあれば、人と向かい合って打つ場を求めることもある。一石亭のような町の碁会所は、盤をはさんで年上の打ち手から直接教わることのできる、数少ない場所の一つである。年配の常連にとっては、人と会って話をし、頭を使う日々の楽しみの場でもある。囲碁を始めたばかりの人には、少し敷居が高く感じられる。しかし、実際に入ってみると、席料一回分で何局も打てる、気軽な稽古の場として使われている。
周辺
店のある喜多原市は、福島県内の山に囲まれた盆地のまちである。市内には古い蔵の並ぶ町並みや、ラーメンの店が多い。冬は雪が深い。近くの山には、家族向けの小さなスキー場である雪ヶ森ゲレンデがある。碁会所は、こうした観光の場所とは別に、地元の人が日常に通う場所として、市街地の中で営まれている。