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岩尾左官店(いわおさかんてん)

別名: 岩尾左官、岩尾左官工事店

唐浦市内にある左官店。土壁・漆喰・モルタル・珪藻土などの壁仕上げを請け負い、住み込みの弟子を受け入れて職人を育てていた。

概要

岩尾左官店は、佐賀県の海に面した城下町、唐浦市にある左官店である。左官とは、こてを使って壁や床、土間などを塗り仕上げる仕事で、この店は土壁、モルタル壁、珪藻土、漆喰といった壁の仕上げ材を扱ってきた。親方のもとに住み込みの弟子を受け入れ、仕事場と暮らしを共にしながら職人を育てていたことで知られる。

事業内容

仕事の中心は、住宅や店舗の壁を塗る左官工事である。土壁は、土とわらすさを練り合わせて塗り重ねる日本古来の仕上げで、漆喰は消石灰を主な原料とし、白く落ち着いた壁をつくる。モルタル壁は外壁の下地や仕上げに使われ、珪藻土は湿気を調える性質から室内の壁として選ばれることが多い。

これらに加えて、柄やこて跡の模様を変えた意匠性の高い仕上げも手がける。屋根瓦の漆喰が傷んだ場合の補修や、コンクリートの土間打ち工事も請け負い、新築だけでなく古い家の手入れにも応じる。工事は建設業の許可を受けた業者として、県の許可のもとで行われる。

職人の育て方

左官の修業は昔から長く、見習いの期間は一般に4年ほどといわれる。最初は土をこねる、材料を運ぶ、道具の手入れをするといった下働きから入り、こての扱いを見て覚え、少しずつ塗る仕事を任されるようになる。岩尾左官店ではこの昔ながらのやり方を受け継ぎ、弟子が住み込みで寝起きし、朝早くから現場に出て、親方や先輩の手元で技を身につけた。

住み込みの暮らしでは、道具の置き方や段取り、現場でのあいさつなど、仕事の外の作法も日々の中で教えられた。現場では先輩の塗る様子を間近に見ながら、実際に壁を塗らせてもらい、直されることを繰り返して腕を磨いたという。

規模と体制

同種の左官会社は、職人数十人規模の会社から数人の小さな店までさまざまである。岩尾左官店は、親方と職人、住み込みの弟子からなる、顔の見える体制の店だった。大きな現場では他の工務店や建設会社と組み、職人の人数を合わせて仕事に当たった。

地域とのかかわり

城下町である唐浦市には、古い土蔵や商家、瓦屋根の家が多く残る。こうした建物の壁や漆喰の補修は、左官の技が欠かせない仕事で、岩尾左官店も町の家々の手入れを支えてきた。弟子として店で修業した人の中には、のちに独立して自分の店を構えた人もいたとされ、市内の左官の仕事を支える人材の育ち場所になっていた。

特徴

岩尾左官店の特徴は、伝統の土壁や漆喰の技と、珪藻土やモルタルといった現代の材料の両方を扱えることにある。見た目の美しさだけでなく、湿気を調えたり、火に強かったりといった壁の働きまで考えて仕上げを選ぶ姿勢が、施主から信頼されてきた。

関連する話題

左官の仕事は、現場で道具を使い手で仕上げるため、機械化が進みにくい分野である。後継者の確保が各地で課題となるなかで、住み込みで職人を育てる岩尾左官店のやり方は、技を次の世代へ手渡す一つの形として語られている。

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