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峡月館(きょうげつかん)
雲奈月温泉の渓谷沿いにある、1931年創業の源泉かけ流しの温泉旅館。客室は32室で、川の上流から引いた透明なアルカリ性単純泉と料理を売りにする。
概要
峡月館は、富山県黒峰市の雲奈月温泉にある温泉旅館です。1931年(昭和6年)に創業しました。客室は32室で、川がつくった深い渓谷のへりに建っています。湯は、加水や循環に頼らない源泉かけ流しです。創業以来、料理旅館としての伝統を守っています。部屋数をあえて増やさず、一組ずつ目の届く規模を保っていることが特徴です。
沿革
創業は昭和の初めです。当時の雲奈月温泉は、山奥の川の上流から湯を長い管で引き、渓谷の出口に温泉街が開かれてまもない時期でした。電力開発のための鉄道が山の奥へ延びるのにつれて、工事の関係者や湯治の客が泊まる宿が増えていきました。峡月館もその流れの中で、渓谷を望む位置に開業しました。
戦後は、観光客の増加に合わせて客室や浴場を少しずつ整えました。画家や文筆家が長く滞在する宿としても知られるようになり、渓谷の景色を求める客が静かに過ごせる宿として評判を広げました。その後も大がかりな増築は行わず、建物は部分的な改装を重ねながら今に至ります。
温泉と浴場
湯は、川の上流の源泉から引いた、無色透明のアルカリ性単純泉です。肌あたりがやわらかく、「ぬるりとした」入り心地をもつと言われます。源泉の温度は高いため、そのまま湯船に入れるのではなく、湯もみ板や引き湯の長さで湯温を整えています。
浴場は、渓谷を見下ろす露天風呂つきの大浴場と、男女別の内湯の2系統を基本とします。このほかに、予約制の貸切露天風呂が1か所あります。早朝は渓谷に霧がかかり、夜は川音を聞きながら入浴できます。
客室と料理
客室は32室で、大半は和室です。和洋室を少数そなえ、川側の部屋からは渓谷と対岸の山の緑を見渡せます。秋の紅葉の時期は、予約の埋まる早さで知られます。
料理は、富山湾でとれた魚介を中心にした会席です。白えび、ブリ、ホタルイカなどを季節ごとに取り入れ、山菜や川魚も合わせます。朝食には、地元の米と、湯で炊いた粥などを出します。
所在地とアクセス
峡月館は、雲奈月温泉駅から歩いて数分から十数分の距離にあります。駅は、富山県内の私鉄の終点です。旅館までは、送迎の車を頼むこともできます。近くには、渓谷を走るトロッコ電車の駅があり、宿泊をはさんで観光や散策をする客が多く訪れます。県北東部の市の観光の拠点であり、黒峰市の山あいの温泉地という顔を、この宿は代表しています。
地域とのかかわり
宿は、地元の旅館組合の一員として、温泉街の行事や清掃に参加しています。春と秋には、渓谷の観光シーズンに合わせた宿泊プランを設け、地元の食材を使った料理を出します。地域の漁協や農家から仕入れる食材を多く使い、温泉街の観光と産業の結びつきに貢献しています。
特徴
小さな規模ならではの、きめ細かな接客が峡月館の持ち味です。創業から90年以上、静かな渓谷の湯と素朴な料理を、一貫して守り続けています。