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黒峰市(くろみねし)
富山県北東部にある、人口4万人ほどの市。山あいの温泉地、川がつくった扇状地、富山湾に面した港町という三つの顔をもつ。
概要
黒峰市は、富山県の北東部にある市です。面積は約87平方キロメートル、人口は4万人あまりで、北は富山湾に面し、南は高い山々へと続きます。砂丘や砂堆、平地、台地、山地と地形の変化に富み、山あいの温泉地、川がつくった扇状地のまち、海辺の港町という三つの顔をあわせもっています。県の東の端に近く、隣の県との境も近いため、古くから人や物の行き来が多い土地でした。
地理
市域を流れる大きな川は、高い山々に源を発し、富山湾へ注ぎます。この川が山から平野へ出るところに、広い扇状地が形づくられました。扇状地では地下水が豊かで、市内には20か所近い水汲み場があり、誰でも自由に湧き水を利用できます。海岸沿いには砂丘が連なり、冬には日本海側らしい雪と風の季節が訪れます。南の山地は深い峡谷になっていて、谷あいには温泉がわき、春は新緑、秋は紅葉の景色が楽しめます。一年を通して降水量が多く、その水が山と地下をめぐって、まちの暮らしを支えています。
歴史
川はたびたび流れを変える暴れ川で、古くから北国街道の難所として知られていました。江戸時代の寛文2年(1662年)、加賀藩の5代藩主が、扇の要にあたる扇頂部の愛本に橋を架けさせ、通行が楽になりました。この橋は、のちに全国に知られる名橋として語られるようになります。海岸には古くから、生地や泊といった、北前船の中継地になる大切な港がありました。昭和29年(1954年)に桜井町と生地町が合体して市制を施行し、平成18年(2006年)には、山あいの温泉地をもつ雲奈月町と合体して、現在の市域になりました。
見どころと特徴
山あいには、峡谷に沿って湯がわく峡月館などの旅館が並ぶ雲奈月温泉があり、峡谷を走るトロッコ電車とともに、全国から観光客が訪れます。電車は川沿いの断崖をぬって走り、深い谷と鮮やかな緑や紅葉を間近に眺められます。扇状地では水田が広がり、湧き水を使ったくらしと産業が根づいています。きれいな地下水は米づくりのほか、食品や機械などの工場でも使われ、水のまちとして知られます。港のある海辺では、漁業と水産加工が営まれてきました。富山湾でとれる魚介は、地元の市場や食卓に並びます。
交通とアクセス
市内には海沿いを走る鉄道と、山あいへ向かう鉄道の二つの線が通っています。山あいの温泉地へは、駅から峡谷沿いを走る私鉄の電車で向かいます。海沿いには北陸方面と東西を結ぶ幹線道路や高速道路が通り、県内の主要な都市や隣の県へも出やすい立地です。冬は雪が多いため、道路の除雪や、谷あいの道の安全確保が欠かせません。
暮らしと信仰
高台には、養老元年(717年)の創建と伝わる鴨崎神社があり、75段の石段の上に、縁結びの夫婦神を祀っています。木々に囲まれた静かな境内と、初夏の例祭で知られ、地元の人の信仰を集めてきました。市内には県立の高校もあり、まちの若い世代を育てています。湧き水の水汲み場では、毎日のように、容器を持った近所の人が水をくみに訪れます。
行事と周辺
初夏の神社の例祭のほか、温泉地では季節ごとに催しが開かれ、峡谷の景色を目当てにした観光客でにぎわいます。港では海の幸を味わえる店が並び、扇状地では田植えや稲刈りの季節に、農村らしい風景が広がります。山、川、扇状地、海が近い距離に集まっていることが、このまちの暮らしと観光の大きな魅力となっています。