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港屋かまぼこ株式会社(みなとやかまぼこかぶしきがいしゃ)
大分県の中沢市内にある、かまぼこと練り物の製造会社。昭和の初めに創業し、はもの皮巻をはじめ、天ぷらや柚こしょう入りの蒲鉾を、手仕事を中心に作り続けている。
概要
港屋かまぼこ株式会社は、大分県の中沢市内にある、かまぼこと練り物の製造会社である。昭和の初めに創業し、親から子、子から孫へと家族で受け継がれてきた。看板は、はもの身を使った皮巻きのかまぼこで、このほか天ぷら(揚げかまぼこ)や、香りづけに柚子こしょうを使った蒲鉾も作っている。海に近い土地柄を生かし、近海の魚を原料にした昔ながらの味を守る、地域に根ざした食品メーカーである。
沿革
創業は昭和の初めで、港に近い小さな作業場で、その日に揚がった魚をすり身にして売ったのが始まりと伝わる。当時は家族だけで魚をさばき、できたてを近所の魚屋や家庭に届けていた。戦後は、地元の魚屋や贈答向けの注文が増え、昭和の半ばに工場を広げた。のちに株式会社となり、現在は四代にわたって味を守っている。創業以来、機械化を急がず、手仕事を中心にした製法を続けている点は、代々変わっていない。
事業と製品
魚をさばく作業から、成型、焼き、蒸し、揚げまでを、ほぼすべて手作業で行うのが特徴である。はもは小骨が多く、骨切りに熟練を要するため、職人が一本ずつ身を処理し、すり身にして皮を巻く。骨切りは一寸に何十回も包丁を入れる細かな作業で、技を身につけるには長い年月がかかるという。主な製品は次のとおり。
- はもの皮巻(看板商品)
- 小さなたこを丸ごと使った「姫だこ天」
- はも天
- 高菜を練り込んだ「たか菜天」
- 柚こしょう入りの蒲鉾
原料には近海で獲れた魚介を使い、かまぼこ本来の弾力と風味を大切にしている。保存料に頼らず、できたてに近い状態で届けることを心がけている。
製法のこだわり
かまぼこの味を決めるのは、すり身の練りと水の扱いである。魚の身を水でさらして余分な脂や臭みを抜き、石臼や擂潰機で粘りが出るまで練り上げることで、噛むと押し返すような弾力が生まれる。季節や魚の状態によって練り加減や塩の量を微妙に変えるため、職人の経験と勘が欠かせない。揚げ物は、油の温度と揚げ時間を見極め、中までふっくらと火を通す。柚こしょうや高菜といった九州らしい素材は、すり身の風味を損なわないよう、量を加減して合わせている。
販売と所在地
工場は中沢市内にあり、工場に併設した売り場で直売を行っている。営業時間は朝8時から夕方5時までで、日曜日は休む。ほかに、道の駅、空港の売店、百貨店の物産売り場などに商品を置き、インターネットの通信販売で全国にも発送している。贈答用の詰め合わせは、お中元やお歳暮、帰省の手みやげとして選ばれることが多く、年末の正月前には注文が集中する。
地域とのかかわり
はもを使った皮巻は、地元の人にとって、祝い事や正月の食卓に欠かせない味のひとつである。地元の漁協や魚屋から魚を仕入れ、地域の水産業とともに歩んできた。工場の直売所は、近所の人が日々の惣菜や酒のつまみを買いに立ち寄る場にもなっており、遠方からの客が土産を求めて訪れることもある。手仕事を守りながら、新しい味の開発にも取り組み、まちの食文化を次の世代へ伝えている。