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中沢市(なかざわし)
大分県の北西部、周防灘に面した平野から山あいの渓谷までを市域にもつ地方都市。城下町として栄えた歴史を背景に、住宅地、自動車部品などの工業、かまぼこやからあげなどの食品製造が根づいている。
概要
中沢市は、大分県の北西部に位置する市である。昭和4年(1929年)に市制を施行した。人口は約8万人で、県内では3番目の規模にあたる。面積は約491平方キロメートルと広く、北は周防灘に面した平野、南は渓谷と山あいの地域が広がる。住宅地、工業、食品製造の事業所がそれぞれ根づいた地方都市である。
地理と気候
北部は海に面した低地で、市街地と工場、農地が連なる。市の中央を山郷川が流れて海へ注ぎ、その下流に城下町として発達した中心市街地がある。山郷川は上流で何本もの支流を集め、下流では広い三角州をつくり、昔から水運と田畑のうるおいを市にもたらしてきた。南部は奇岩の続く渓谷や山林で、観光地や寺院も点在する。気候は瀬戸内海式で温暖、年間の降水量は九州のなかでは少なく、冬も雪はまれである。夏は海風があり、梅雨から秋にかけては台風の影響を受けることもある。
歴史
中世以降、山郷川の河口に近い土地は、海と内陸をつなぐ要地として城が築かれ、江戸時代には城下町として栄えた。城は川の水を引き込んだ水城で、海に近い地の利を生かし、満ち引きを堀に取り入れていた。町には武家地と町人地が区分された名残があり、寺町や古い町筋が今も残る。幕末から明治にかけては、洋学や医学を学ぶ塾が開かれ、教育の盛んな土地として知られた。近代には鉄道が敷かれ、昭和の初めに市となった。その後、周辺の町村との合併を重ねて現在の広い市域になった。
産業
工業では、自動車部品を手がける東豊部品工業株式会社が本社を置くほか、衛生機器や電子部品の大きな工場が立地し、市の経済を支えている。臨海部には工場や物流の拠点が集まり、周辺の市町からも通勤する人が多い。農業では、はくさい、ブロッコリー、ねぎなどの野菜が栽培される。海沿いでは水産物にも恵まれ、食品製造も盛んである。中でも、はもの皮を巻いた蒲鉾で知られる港屋かまぼこ株式会社のような練り物の工場があり、また、鶏肉を下味に漬け込んで揚げる「からあげ」の店が市内に多く、地域の食の名物として親しまれている。持ち帰りの専門店が国道沿いや住宅地に並び、休日には家族連れが車で買いに訪れる。
交通
鉄道は、民営の鉄道会社の本線が市内を通り、中心駅が市街地の玄関口になっている。駅前から城下町の古い町筋までは歩いて行ける距離で、バスも市内各地と結ぶ。道路は、国道が海沿いを東西に通り、高速道路のインターチェンジも市内にあって、県内外への物流や通勤を支えている。
暮らしと住宅地
中心市街地の周辺には、昭和後期から開発された住宅地が広がり、戸建てや集合住宅が並ぶ。スーパーや医院、学校が近くにまとまり、日々の買い物や通学に便利な暮らしぶりである。住宅地の一角には、災害時の避難場所にも指定された公園として川端中央公園があり、広場や噴水、グラウンド、遊具が地域の人に使われている。近くには食品スーパーのスーパーかもめ屋の店もあり、身近な買い物の場になっている。
見どころと行事
城あとの周辺は、桜の季節に花見の人でにぎわう。南部の渓谷は、紅葉の時期に多くの観光客が訪れ、寺院や石の橋、遊歩道などを巡る散策が楽しめる。夏には市街地で川や海に関わる祭りが行われ、秋には神社の例祭や、地域ごとの収穫を祝う行事が続く。食では、はもを使った料理やからあげ、蒲鉾などが、市を訪れる人にも知られた味である。