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向山神社(むかいやまじんじゃ)
桜ヶ丘の近くにある、石段が長い小さな神社。古い信仰の山のふもとに建ち、地元では「向山さん」と呼ばれて親しまれている。
概要
向山神社は、福岡県内の山あいの集落、桜ヶ丘の近くにある小さな神社である。人家のはずれから山の斜面に沿って長い石段が続き、その上に拝殿と本殿が建つ。境内は広くないが、木々に囲まれて静かで、地元では親しみをこめて「向山さん」と呼ばれる。石段の長さが一番の目印で、参拝のたびに息を整えながら上る人も多い。氏子はふもとの集落の家々で、日々の掃除や年中行事も、その人たちの手で受け継がれている。
所在地とアクセス
所在地は福岡県の山あいの町の一角で、桜ヶ丘から歩いて行ける距離にある。路線バスの停留所からは徒歩でおよそ10分。停留所から細い道を山のほうへ進むと、道のつきあたりに鳥居と石段の下の入口が見えてくる。駐車できる場所はごく限られるため、近くの人は歩いて訪れることが多い。石段は手すりが少なく、雨のあとはすべりやすいので、足もとには注意が要る。霧雨の朝などは石が湿って色が濃くなり、いっそう静かな雰囲気になる。
歴史
神社が建つ山は、古くは信仰の山として開かれたと伝わり、天平年間の開山とされる。江戸時代の地誌には、かつては大きな社で、山中に三百を超える坊が並んでいたと記される。しかし戦国末の天正年間に、坊はすべて焼けて失われたと伝えられる。いまも山の中には坊の跡や堂の跡が点々と残り、昔のにぎわいをしのばせる。
現在の拝殿は大正9年(1920年)、本殿は昭和2年(1927年)に建てられたものである。大きな社が失われたあと、小さな社として地域の人びとに守られ、今の姿に整えられてきた。拝殿の再建には、ふもとの集落の人びとが材や労力を出し合ったと伝えられ、その後も屋根の修繕や境内の整備は氏子の寄付と奉仕で続けられている。
見どころや特徴
見どころは、まず長い石段である。一段ごとに苔が生え、両わきの杉や雑木が日をさえぎるため、夏でもひんやりとしている。段数は八十八段ともいわれ、数えながら上る参拝者も少なくない。石段を上りきった先の境内からは、ふもとの田畑や家並みが見下ろせる。
さらに山の頂に近いところには、奥の社へ続く細い山道がある。道ばたには古い石の祠や石仏が並び、かつての坊の名残とされる平らな場所もいくつか見つかる。派手な見どころはないが、人の少ない朝夕に歩くと、山全体が長い歴史を静かに抱えていることが感じられる。
行事や利用
年のはじめには初詣の人が石段を上り、お神酒や甘酒がふるまわれることもある。春と秋には例祭が営まれ、氏子が集まって神事のあと直会を開く。ふだんは、朝の散歩の途中に石段の下まで来て手を合わせる人、足腰を鍛えるために石段を往復する人など、日常の中で気軽に使われている。犬を連れて来る人も多く、犬は石段の下で待ち、飼い主だけが上って参拝する姿がよく見られる。
周辺
神社のまわりは、桜ヶ丘に連なる静かな住宅地と、山すその田畑や雑木林である。春には近くの桜が咲き、散歩のついでに神社へ足を延ばす人もいる。境内に自動販売機や売店はないため、水などは持参したほうがよい。ごみは持ち帰り、氏子が守る境内を静かに使うことが、参拝者の心得として親しまれている。