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大牟野市(おおむのし)
福岡県の最南端にある人口約10万人の市。石炭の採掘と積み出しで栄え、炭鉱の閉山後は環境・リサイクル関連や化学・金属加工の産業へ軸を移し、産業遺産を生かしたまちづくりを進めている。
概要
大牟野市は、福岡県の最南端にある市で、人口は約10万人。県の南の端にあたり、隣の県との境に接している。大正6年(1917年)に市制を施行し、石炭を掘り出して運ぶまちとして大きく育った。炭鉱が閉じたあとは、環境・リサイクル関連の産業や、化学・金属の加工業へと軸を移し、産業の遺産を生かしたまちづくりを進めている。
地理と所在地
福岡県の南端に位置し、有明海に面した低地と、その背後の丘陵からなる。海沿いには工場や港が並び、内陸側には住宅地と農地が広がる。みかん類や海苔の産地でもある。県都の福丘市からは、鉄道や自動車道で1時間あまりの距離にある。南は隣の県の市と接し、民営の鉄道会社の本線と国道、自動車道が市内を南北に通るため、九州の南北をつなぐ通り道としての役割も担ってきた。
歴史
まちの発展は炭鉱とともにあった。明治以降、大規模な炭鉱の開発と、石炭を積み出す港の整備が進み、鉱山を営む企業の関連工場が次々に建てられた。石炭を運ぶための専用の鉄道や、船が着岸できる閘門式の港も整えられ、人と物が集まるにつれて市街地が広がった。昭和34年(1959年)には人口が20万8千人あまりに達し、これが最大となった。その後はエネルギーの中心が石炭から石油へ移ったことで、炭鉱の縮小と人口の減少が続き、平成9年(1997年)3月に炭鉱は閉山した。閉山後は、跡地の活用と、新しい産業の誘致がまちの大きな課題となった。
産業
炭鉱の時代に築かれた化学工業と金属加工の工場が、いまも市の経済を支えている。石炭を原料にしたガスや化成品の製造から始まった工場群は、時代とともに製品を変えながら操業を続けてきた。そこに加えて、廃棄物の再資源化など環境関連の事業を集めた取り組みが進み、リサイクル施設や関連企業が立地する「環境・リサイクルのまち」としての顔もできた。農業では、みかん類の栽培や海苔の養殖が営まれている。草もちなどの菓子も、土地の名物として親しまれている。
見どころと文化
炭鉱と港の施設群は、平成27年(2015年)に世界遺産に登録された。市内には石炭産業の歴史を伝える科学館があり、採掘の仕組みや坑内での暮らしを、展示や映像で学ぶことができる。かつての坑口や巻き上げ機の跡、積み出しの港の設備なども残り、産業遺産をめぐる見学の道として整えられている。市の公園には動物園もあり、家族連れが訪れる。
行事と暮らし
毎年夏には、市民が街なかを踊り歩く大きな祭りが開かれ、大勢の踊り手と見物客でにぎわう。炭鉱の時代から伝わる唄や踊りが受け継がれ、市外へ出た人が帰省して参加することも多い。また、冬には海苔の収穫の季節を迎え、有明海沿いの暮らしに根づいた風景が見られる。日常の買い物は駅前の商店街や郊外の大型店で足り、住宅地では坂のある丘陵に新旧の家並みが混ざっている。
交通と周辺
鉄道は民営の鉄道会社の本線が市内を通り、県都の福丘市や、南の隣県方面へ向かう人の足になっている。道路は国道に加え、九州を縦に貫く自動車道のインターが市内にあり、物流と通勤の両方を支える。周辺には、同じ県南部の茶の産地である八芽市があり、通勤や買い物、観光の面でゆるやかなつながりがある。市は産業遺産、環境産業、農水産物という三つの顔を生かし、人口減少の中でもまちの活力を保つことをめざしている。