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八芽市(やつめし)
福岡県南部の茶の産地で、白壁の家並みが残る旧市街をもつ市。玉露と提灯、仏壇、和紙などの伝統工芸、矢辺川の扇状地から山あいの村々までを市域にもつ。
概要
八芽市は福岡県の南部にある市で、面積は約482平方キロメートル、人口は約5万7千人。県内でも指折りの広い市域をもち、西の平野から東の山あいまでが一つの市にまとまっている。昭和29年(1954年)に市制を施行し、平成22年(2010年)2月1日に黒樹町、立華町、矢辺村、星ノ村を編入して現在の形になった。
白壁の家並みが残る旧市街、玉露の産地としての茶畑、そして提灯・仏壇・和紙といった伝統工芸が、市の三つの顔である。
地理
市の中心部は、矢辺川が支流の星ノ川と合流する地点より西側に開けた扇状地にある。周囲を山に囲まれた盆地のような地形で、年間降水量は約2,000ミリメートルを超え、比較的温暖で雨が多い。この気候と水に恵まれた山のふもとの斜面が、茶づくりに向いている。東へ進むと黒樹、矢辺、星ノの山あいの地域が続き、棚田や渓谷、夜空の美しさで知られる集落が点在する。
歴史
平野部には古代の遺跡が多く、北部九州で最大級の前方後円墳である岩戸ヶ岡古墳がある。古墳のまわりは公園として整えられ、古墳群をめぐる散策ができる。
旧市街の福洲(ふくす)地区は、天正15年(1587年)に築かれた福洲城の城下町として始まり、江戸時代には在郷の商人の町として栄えた。町は間口が狭く奥行きの深い「うなぎの寝床」の町家が並び、白漆喰の壁をもつ土蔵造りの建物がいまも約150棟残る。この家並みは平成14年(2002年)5月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた。
産業と特産
八芽茶は約600年前に、中国の寺から持ち帰った茶の種をまいたのが始まりと伝わる。とくに玉露の生産額は全国一とされ、茶の平均単価も高い水準にある。覆いをかけて育てる茶畑は、新茶の季節に深い緑色に染まる。旧市街には老舗の茶舗が並び、千草園もその一つである。
花の栽培では電照菊がさかんで、夜の畑に灯りがともる光景は冬の風物詩になっている。伝統工芸は、八芽提灯(生産量は全国一)、福洲仏壇、八芽和紙、石灯籠などが知られ、九州でも有数の工芸の集まる土地である。市内の工業団地には、筑南精工株式会社のような機械部品の工場も立地している。
見どころと行事
旧市街の本町通りと京町、小松庄町の通りを歩くと、白壁の町家、酒蔵、工芸の工房が続き、街歩きの人が訪れる。町家を生かした資料館や、茶を味わえる店も多い。丘の公園の桜ヶ丘公園は、梅と桜、初夏のアジサイを楽しめる散歩の場である。
そのほか、黒樹地区には国の天然記念物に指定された大藤があり、春に花の房が棚いっぱいに垂れ下がる。
行事では、福洲八幡宮の秋の放生会が知られ、からくりの舞台で人形が芝居を演じる「灯籠人形」が奉納される。上洋地区では、秋に地域の祭りが開かれる。
周辺
平野の南北には、隣の久留目市などへ通じる国道と鉄道が通り、福岡県の中心部へは1時間ほどで行ける。山あいの村々は、茶畑と渓谷、星空の眺めを生かした観光に力を入れている。