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玉波縫製(たまなみほうせい)
玉波市内にある縫製工場。1987年の創業以来、衣料ブランドから生地と型紙を預かって縫い上げる受託縫製を行い、球技のゲームシャツなどのスポーツ衣料と、Tシャツやパーカーを手がける。
概要
玉波縫製は、熊本県北部の玉波市内にある縫製工場である。自社で服を売るのではなく、衣料ブランドやアパレルメーカーから生地と型紙、仕様書を預かって縫い上げる「受託縫製」を主な仕事としている。扱うのは、球技のゲームシャツやジャージなどのスポーツ衣料と、Tシャツやパーカーといった普段着である。小さな所帯ながら、同じ形を決まった品質でくり返し仕上げることを強みにしている。
沿革
創業は1987年。当初は少人数のミシン場として、近隣のメーカーから下請けの縫製を引き受けるところから始まった。国内の縫製業は、工場の海外移転や輸入品の増加で数を減らしてきたが、玉波縫製は国内向けの短い納期と細かな仕上がりへの要望に応えることで仕事を保ってきた。2000年代には本縫いやロックミシンに加えて、縁を始末する専用ミシンを段階的にそろえ、扱える生地や形の幅を広げた。取引先からは、継続して小ロットの追加注文が来る工場として知られる。
事業と特徴
仕事の中心は、スポーツ衣料である。サッカーやバスケットボールなどのゲームシャツ、ジャージの上下は、汗を逃がす薄手の化繊生地で作られる。生地が伸びやすく滑りやすいため、縫い目がゆがまないよう、送りの調整や押さえの工夫が欠かせない。袖付けや脇の縫い合わせ、番号やロゴまわりの始末など、工程ごとに担当を分ける流れ作業と、1人が複数の工程をこなす多能工の働き方を組み合わせている。
もう一つの柱が、Tシャツやパーカーの縫製である。綿素材のものは縫い代の始末やフードの形づくりに手間がかかる。大手のスポーツブランドや、デザイン性の高い衣料ブランドの商品を請けることもあり、検品では縫い目の幅、糸のほつれ、寸法のばらつきを一枚ずつ確かめてから出荷する。
生産の流れと品質管理
仕事は、取引先から届く生地と型紙、仕様書を受け取るところから始まる。最初に、見本を1枚縫う試作を行い、縫う順番や使うミシン、糸の太さと針の種類を決める。量産に入ってからは、ラインの途中と最終工程の二段階で検品を行う。途中の検品では縫い始めのずれを早く見つけて直し、最終の検品では寸法を測り、アイロンで形を整え、袋詰めして出荷する。不良が出た場合は、原因となった工程を特定して、次の注文に生かしている。ブランドごとに決まりの違う縫い目の幅や糸の色も、工程表に書き込んで共有している。
働く人と工場
従業員は、ミシンを扱う縫製の担当が中心で、裁断済みの生地の仕分けや検品、出荷を受け持つ人も加わって、数十人規模で動いている。熟練の担当が若い担当に手の動かし方を教える形で技術を受け渡しており、地元で長く勤める人が多い。工場は一つの建物にミシンの列が並ぶ作りで、窓から光が入るようにして、細かな縫い目が見えやすい環境を整えている。
地域とのかかわり
温泉と農業のまちである玉波市の中で、玉波縫製は、ものづくりの仕事を地元に残す場の一つになっている。近隣に住む人にとっては、通いやすい勤め先であり、子育ての時期にも働きやすいよう、勤務時間の相談に応じてきた。まちの学校やスポーツクラブのユニフォームなど、地域に近い注文を受けることもあり、国内で縫う服の価値を、まちの暮らしの中で伝える存在である。