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月見野館(つきみのかん)
熊本県の玉南市にある玉南温泉で、1951年に創業した有限会社の旅館。大浴場と離れの客室、地元の食材を使った会席料理で、湯治と観光の宿泊客を迎えている。
概要
月見野館は、熊本県の玉南市にある玉南温泉の旅館で、1951年に創業した有限会社が営んでいる。温泉街の中ほどの、緩やかな坂道に面した場所に建ち、本館と離れの客室をあわせて約30室を備える。収容人数は最大で100人ほどで、個人や家族の旅行のほか、法事や同窓会などの小さな集まりにも使われている。温泉と地元の食材を使った料理を中心に、派手さよりも落ち着いた滞在を大切にする宿である。
沿革
創業は1951年(昭和26年)で、戦後まもない時期に、温泉街の外れの小さな宿として始まった。当初の客室は10室に満たず、近隣の農家や湯治客が主な客層だった。昭和30年代には、玉南温泉全体が九州の温泉地として知られるようになり、観光の団体客が増えたため、本館を増築して宴会場を設けた。昭和50年代には、有限会社として組織を整え、離れの客室棟を新築した。平成に入ってからは、団体旅行から個人旅行への流れに合わせて、大広間の一部を少人数向けの食事処に改装し、客室の一部を和洋室にした。令和に入ってからは、浴場の改修とバリアフリー化を進め、高齢の客や車いすの客にも使いやすい宿づくりを続けている。
温泉と施設
玉南温泉は、無色透明でやわらかい肌ざわりのアルカリ性の単純温泉で、「美人の湯」とも呼ばれてきた。月見野館では、敷地内の源泉から引いた湯を、男女別の大浴場と、予約制の貸切風呂に注いでいる。大浴場は、窓の外に庭の木々が見える造りで、夜は庭の灯りが湯面に映る。ほかに、客室付きの露天風呂をそなえた離れが数室あり、静かに過ごしたい客に選ばれている。館内には、くつろぎの休憩処、小さな売店、駐車場があり、駐車場は20台ほどが停められる。
料理と宿泊
夕食は、地元でとれた野菜や米、有明海に近い海域の魚介を使った会席料理が中心である。季節ごとに献立が変わり、春は山菜と筍、夏は鱧や鮎、秋は栗や茸、冬は鍋物や猪肉などが膳に並ぶ。熊本の郷土の味として、からし蓮根や馬刺しを添えるコースもある。朝食は、焼き魚と小鉢、湯豆腐などの和朝食で、地元の卵や味噌を使う。食物アレルギーや苦手な食材には、予約のときに相談すれば個別に対応する。宿泊は、1泊2食の料金が基本で、素泊まりや連泊の湯治向けの案内も用意している。
所在地とアクセス
旅館は、玉南市の玉南温泉の中にあり、市内の駅から車で約10分、歩けば30分ほどの距離にある。駅からは、送迎の車を出す日があり、予約のときに時刻を伝えると利用できる。九州の主要な都市からは、高速道路と国道を使って約1時間から1時間半で着く。熊元市の市街地からは、車で40分ほどである。周辺には、温泉街の散策路、小さな神社、土産物店、足湯があり、宿の前を歩くだけでも温泉地の雰囲気を味わえる。
地域とのかかわり
月見野館は、温泉街の旅館の組合に加わり、春の温泉まつりや、夏の夜店、秋の収穫祭などの行事に協力している。食材は、市内や近隣の農家、漁協から仕入れる割合が高く、地域の産品を宿泊客に紹介する役目も担う。従業員の多くは地元の出身で、長く勤める人が多い。地元の学校の職場体験を受け入れるなど、地域の人づくりにも関わっている。創業から70年以上、温泉街の歴史とともに歩んできた、玉南温泉を代表する宿の一つである。