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朝堰市(あさぜきし)
岩手県の最南端にある、人口約10万人の市。北沢川の流域に水田と市街地が開け、冬は雪が多く、豪雪地帯に指定されている。渓谷の舟下りや酒造、セメント工業で知られる。
概要
朝堰市は、岩手県の最南端に位置する市です。面積は約1,256平方キロメートルと県内でも指折りの広さで、人口は約10万人です。市の中央を北沢川が南へ流れ、その流域に水田と市街地が開けています。冬は雪が多く降り、市域は豪雪地帯に指定されています。寒暖の差が大きい内陸型の気候で、年平均気温は約11.7度です。夏は日中の気温が上がり、冬は朝晩の冷え込みが厳しく、季節ごとの変化がはっきりしています。
地理
主な川は、北沢川のほか、石井川、砂金川、千馬川です。周囲には栗森山、束稗山、室峰山などの山々が連なります。南部は県境をはさんで宮城県に接し、北沢川の流域は古くから米づくりの盛んな平野です。西には山あいの渓谷があり、市域は平野、丘陵、山地と変化に富みます。市域が広いため、中心部の市街地と山あいの集落では、積雪の量や気温、暮らしの様子がかなり異なります。
歴史
現在の朝堰市は、2005年9月20日に、旧朝堰市、花清町、大都町、千馬町、東嶺町、室峰村、川前村の7つの市町村が合併して発足した、3代目の市です。2011年9月26日には、隣の藤野町を編入しました。合併の結果、市域は県内で最も広い部類になり、旧町村ごとに異なる風土や暮らしが一つの市の中に並んでいます。旧町村の名は、地区名や学区、祭りの単位として今も使われ、住民の帰属意識の拠りどころになっています。
産業
北沢川がつくった平野では稲作が営まれ、丘陵や山あいでは畜産や野菜づくりも行われます。工業では、市内にセメント工場や住宅設備メーカーの製作所などが立地し、雇用を支えています。地酒や地ビールをつくる酒造会社もあり、なかでも世喜の一酒造は、蔵を生かした見学や飲食で知られます。豪雪地帯の水と米に恵まれた土地柄が、酒づくりを育ててきました。
見どころと食文化
見どころは、石灰岩の断崖に挟まれた獅鼻渓と、岩の間を清流が流れる巌見渓です。獅鼻渓では、船頭が竿をさして進む舟下りが親しまれ、新緑や紅葉の時期には多くの人が訪れます。巌見渓には、対岸の店へ空中を行き来する団子の籠の名物があり、渓谷の景色とあわせて楽しまれています。食文化では、餅を使った料理が根づいており、祝いの席や行事には、あんやごま、くるみ、じゅうねん(えごま)などで味つけした餅が供されます。雪の多い冬を越すための保存食や漬物の文化も、各地区に受け継がれています。
交通と暮らし
市内には南北に鉄道の本線が通り、複数の駅が市街地と各地区をつないでいます。南北を貫く自動車道のインターも市内にあり、県内外へ車で出入りしやすい立地です。広い市域を結ぶため、道路網が暮らしの基盤になっており、冬は除雪が行政の大きな仕事になります。雪下ろしや雪かきを地域で助け合う習慣も根づいています。
行事と地域のようす
冬の雪と寒さを背景に、各地区では小正月の火祭りや初午、春の山菜採り、秋の収穫祭など、季節に合わせた行事が続いています。川沿いの桜並木や、渓谷の紅葉を目当てに訪れる人も多く、観光と農業、工業が一つの市の中で同居しているのが、この市の特徴です。