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上坪の石塚(かみつぼのいしづか)
矢羽市の上坪地区にある、米と野菜をつくる家族経営の農家の屋号。山すその田で特別栽培のコシヒカリを育て、畑では多品目の野菜、庭先では果樹を手がける。
概要
上坪の石塚は、栃木県の矢羽市、上坪地区にある家族経営の農家の屋号です。田んぼでコシヒカリを育てるほか、畑で季節の野菜をつくり、庭先の果樹も手がけています。大きな会社組織ではなく、家族が分担して一年の作業を回す、地域では昔ながらの形の農家です。
屋号の「上坪の石塚」は、地区の名と家の名を合わせた呼び名で、近所の人や直売所の常連のあいだで通りがよく、出荷用の袋や札にもこの名が使われています。
所在地と環境
矢羽市は、田んぼの広がる農村地帯を持つ栃木県内の市です(yabane-shi)。上坪地区は、市の北西にそびえる高野原山のふもとにあたり、山から染み出した水が田に引かれています。昼夜の寒暖差が大きく、米の甘みとつやが出やすい土地として知られます。
田は山すその緩やかな斜面に段々に並び、畑と果樹はその上手の家のまわりにあります。田植えの前後には、水路の掃除と水当番の相談を、地区の農家が集まって行います。冬は朝の冷え込みが厳しく、霜や薄い氷が畑の作物の味を決める大事な条件にもなっています。
栽培の特徴
主力はコシヒカリです。県の基準にくらべて農薬と化学肥料の使用量を半分以下に抑える特別栽培に取り組み、肥料は堆肥を中心にしています。
特色は、庭先の果樹で出た形の悪い実や傷のある実を捨てずに、堆肥に混ぜて田へもどす点です。果実の堆肥で育てた米は、もっちりとして甘みがあり、冷めてもおいしいため、弁当やおにぎりに向くと言われます。ごみになるはずのものを土に返す、無駄の少ない循環が、この農家の考え方の中心です。
畑ではナス、キュウリ、ネギ、ダイコン、ハクサイなどを少量ずつ多品目でつくります。ネギは冬の寒さを経て甘みが増すため、霜が降りるころの出荷が中心です。
一年の仕事
- 春:苗づくりと田おこし、水張りのあと、5月ごろに田植えをします。畑ではナスやキュウリの苗を植え付け、果樹の花の手入れも行います。
- 夏:田の水の管理と草取りが続きます。朝のうちに野菜を収穫し、暑い日中は作業を控えて、夕方に畑を回ります。
- 秋:9月から10月にかけて稲刈りを行い、乾燥と籾すりを経て新米を出します。同じころ、庭先の果実の収穫と、堆肥づくりが始まります。
- 冬:ネギやハクサイ、ダイコンの出荷のほか、道具の手入れと堆肥の切り返し、翌年の作付けの計画を立てます。
販売と出荷
米は、玄米や白米を袋詰めにして、知り合いや常連の客へ直接届けるほか、近隣の直売所にも出しています。野菜は朝に収穫したものをその日のうちに並べることを基本とし、少量多品目のため、季節ごとに顔ぶれが変わります。注文を受けてから精米するなど、手間のかかる売り方を続けているのも特徴です。
地域とのかかわり
上坪の農家は、水路の管理や草刈り、神社の行事などを助け合いながら続けています。石塚の農家も、地区の寄り合いに加わり、水当番や共同作業の分担を受け持ちます。米づくりの時期には、地区の子どもたちが田の脇で生きものを探す姿も見られ、農作業が暮らしの風景の一部になっています。
後継ぎの世代が手伝いに加わるなど、家族の中で技術を受け渡しながら、田と畑を守っています。耕作する人が減りつつある農村で、田を荒らさず、土づくりを重んじて続けていることが、地域の中でも評価されています。