生活環境データベース » place
かもめ横丁(かもめよこちょう)
阿凪市の港に近い、小さな飲食店と商店が並ぶ通り。かつて航路と鉄道の乗り換え客でにぎわい、いまは港まつりや市(マルシェ)で人を呼び戻そうとしている。
概要
かもめ横丁は、阿凪市の港に近い一角にある、小さな飲食店と商店が並ぶ通りである。港の岸壁から歩いてすぐの距離にあり、食堂、喫茶、居酒屋、土産物や日用品の店が細い通りの両側に軒を連ねる。港の船の汽笛とかもめの声が聞こえることから、この名で呼ばれてきた。
所在地とアクセス
通りがあるのは、阿凪市の玄関口として栄えた湊本町地区である。天然の良港として知られる港の背後にあたり、岸壁、旧ターミナルの建物、小さな公園が徒歩圏内に集まっている。通りの近くには、地区のシンボルとして知られる「ぽん吉」のたぬきの銅像が立つ「ぽん吉広場」がある。市の中心部からはバスや車で行くことができ、港の駐車場に車を置いて歩く人も多い。
歴史
港は古くから関西と四国を結ぶ「四国の東の門」と呼ばれ、阪神方面や和賀山市との間を結ぶ船が発着していた。大正2年(1913年)には港と市街地を結ぶ鉄道が敷かれてまもなく国有化され、大正11年(1922年)に阿凪線と改称された。船から降りた客が汽車に乗り換える流れの中で、港の周りには食堂や宿、商店が自然に集まり、かもめ横丁もその一つとして形づくられた。
転機は平成10年(1998年)で、長大な橋が開通して陸路で本州と行き来できるようになった。翌年には和賀山市へ向かう南洋フェリーの航路が沖浜地区へ移り、港の旅客ターミナルは役目を終えた。阿凪線は昭和60年(1985年)3月に廃止されており、約1.9kmの短い路線として72年の歴史を閉じていた。船と鉄道の両方の客を失った通りは人通りが減り、空き店舗が目立つようになった。
特徴と見どころ
通りの特色は、港町らしい小さな店が肩を寄せ合う距離の近さにある。朝に揚がった魚を使う定食、中華そば、軽食と喫茶、日用品や土産を扱う店が並び、昔ながらの食堂の味が残っている。土産物と飲食の店は最盛期の数軒から減ったが、その分、残った店には常連が多い。
旧ターミナルは平成14年(2002年)3月に「こころ港交流センター」として生まれ変わり、市民の集まる場になっている。かつての鉄道の跡は遊歩道に整えられ、駅の跡地は記念公園として、蒸気機関車と客車が静かに保存されている。これらを散策の途中に眺めながら、かもめ横丁で食事をとる人もいる。
行事と利用
にぎわいを取り戻すため、市民や団体、企業が協力して地区でイベントを開いている。夏の港まつり花火大会では約2,500発の花火が上がり、県内でもいちばん早い時期の花火大会として知られる。会場の周りでは地元の連による踊りも披露される。そのほか、春と秋に各2回開かれる「みなとマルシェ」では、手づくりの品や飲食の出店が並ぶ。市内の中華そばの店が集まる「中華そば祭り」も、通りの食の魅力を伝える催しである。
2024年にはふるさと納税を活用した寄付の募集が行われ、目標を上回る116.7%の達成率を記録した。翌2025年にも2年目の募集が行われ、花火と踊りの催しを続ける資金になっている。
周辺
周辺には、港、旧ターミナルの交流センター、ぽん吉広場、鉄道の跡の遊歩道と記念公園がある。海沿いに歩くと漁船と貨物船が出入りする港の風景が広がる。市の水産の営みについては阿凪市の項を、港に拠点を置く事業者としては潮風フーズ株式会社の項も参照。