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狐坂神社(きつねざかじんじゃ)
白岩市内の住宅地のはずれ、坂道のわきにある小さな稲荷の神社。江戸後期の創建と伝わり、朱の鳥居が連なる参道と石段で、地元の人に「狐坂の稲荷さん」と親しまれている。
概要
狐坂神社は、白岩市内の住宅地のはずれ、坂道のわきに鎮座する小さな神社である。祭神は、稲荷信仰の中心となる宇迦之御魂神で、五穀豊穣や商売繁盛、家内安全の願いを受け止めてきた。境内は広くないが、石段、朱塗りの鳥居、少し耳の欠けた狛犬、拝殿が、ひとまとまりに収まっている。近くの人は気軽に「狐坂の稲荷さん」と呼び、散歩の途中に立ち寄って頭を下げていく。社殿は大きくないものの、年間を通じて地域の人々の手で清掃と手入れが続けられており、境内はいつも整っている。
所在地とアクセス
神社は白岩市内にあり、市の中心の白岩駅から歩いて行ける距離にある。城下町の面影を残す一角で、近くの城跡へ登る道とも続いている。駅から神社までは、緩やかな上り坂の住宅街を10分ほど歩く。車で来る場合は、境内の脇に数台分の空き地がある程度で、行事の日は近所の駐車場を借りることが多い。山あいの神社のように遠くへ出かける必要がなく、仕事帰りや買い物のついでに立ち寄れるのが、この神社の気安さである。
歴史
創建は江戸時代後期の天明5年(1785年)ごろと伝わる。はじめは「賀良明稲荷」と呼ばれ、坂の上の小さな祠として祀られていた。明治2年(1869年)に、土地の人々が慕っていた修験者の高い徳にちなんで、現在の信仰の形に改められ、社名も整えられたという。その後も、住民の寄進によって鳥居や拝殿が少しずつ建て替えられ、昭和の中ごろには参道の石段が整備された。大きな社殿を持たない代わりに、世話をする人々の手で、百年以上にわたり守られてきた神社である。社名にある「狐」は、稲荷の使いとされる狐にちなみ、坂の名もこの神社から呼ばれるようになったと伝えられる。
見どころと特徴
最大の特徴は、坂の参道に続く朱の鳥居である。奉納された鳥居が百基あまり連なり、くぐるたびに足もとの光が赤く変わる。奥へ進むと、石段の上に拝殿があり、さらに裏手の小さな岩場には、古くからの磐座が祀られている。参道の石段は二十段ほどで、子どもの足には長く感じられるが、大人が数えるとあっけなく感じる段数である。境内の両脇には一対の狛犬が控え、片方の耳が少し欠けているのも、地域の人にはなじみの姿である。雨の日は、濡れた石畳が黒く光り、朱の鳥居との対比が美しい。冬には鳥居の上に雪が薄く積もり、静かな景色になる。
行事と利用
年間の行事では、春の例大祭と秋祭りが中心となる。春の例大祭の前には、境内に幟が立ち、近所の人たちがテントを張って準備を進める。秋祭りでは、境内に提灯が灯され、くじ引きや縁日の出店が並び、子どもたちの楽しみになっている。祭りのあとも数日は提灯が残り、世話役の人々が少しずつ片づけを進める。初詣には、年明けの夜から近所の人が集まり、お札やお守りを受けていく。また、商売繁盛を願って、市内の商店の人が初午の日に参拝することも多い。日ごろは、散歩や買い物の途中に手を合わせる人が絶えない、暮らしに溶け込んだ神社である。
周辺
神社のわきからは、土塁と空堀、曲輪の段差が残る地元の城跡へ登る道が続いている。天守などの建物は残っていないが、雨の日には堀に水がたまり、かつての形がよくわかる。神社と城跡を合わせて歩くと、1時間ほどで一周できる。周辺は静かな住宅地で、古くからの家が多く、秋には庭の柿の実が色づく景色も見られる。春の桜、秋の紅葉の時期には、ゆっくり歩いて回る人の姿も見られる。