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稲荷さん(いなりさん)
鞍吉市の住宅地にある小さな稲荷神社。朱の鳥居と一対の石の狐、小さな社殿を備え、2月の初午や正月の初詣で町内の人に親しまれている。
概要
稲荷さんは、鳥取県の鞍吉市(鞍吉市)の住宅地にある小さな稲荷神社である。地元では正式な社名よりも「稲荷さん」と呼ばれることがほとんどで、散歩の途中や買い物の行き帰りに、立ち止まって手を合わせる人が多い。祀られているのは、稲や食べ物をつかさどる神である倉稲魂命(うかのみたまのみこと)で、使いとされる狐が神前を守っている。
所在地とアクセス
鞍吉市の中心部から少し外れた、家並みと小さな畑が混ざる一角にある。通りに面して朱の鳥居が立ち、その奥に短い参道と社殿が続く。敷地は広くなく、全体をひと目で見渡せる大きさである。バスの停留所から歩いて数分の距離で、参拝者用の駐車場はない。市内の総合病院である鞍吉中央病院からも、歩いて行ける範囲にある。
歴史
稲荷信仰は、京の稲荷の総本社から各地へ分けて祀られ、江戸時代に商家や村々へ広まった。この稲荷さんも、そうした流れの中で町の人びとが屋敷の守りや商売繁盛を願って勧請したものと伝わる。はじめは小さな祠だけだったが、のちに町内の寄進で社殿が整えられ、鳥居や石の狐も奉納された。石の狐の台座には、寄進者の名や年号が刻まれている。戦後は町内会が管理を引き継ぎ、いまも当番制で掃除と見回りが行われている。
境内の見どころ
- 朱の鳥居:通りに面した入口に立つ。何度か塗り直されており、朱色が鮮やかに保たれている。
- 一対の石の狐:社殿の前に向かい合って座る。片方は巻物、もう片方は宝珠をくわえた姿で、長年の風雨で表情がやわらかくなっている。
- 社殿:ひと抱えほどの大きさの小さな木造の社で、屋根は銅板で葺かれている。
- 奉納ののぼり旗:赤や白ののぼりが参道の脇に並び、季節の行事のころに新しくなる。
- 神木の老木:境内の端に立つ古い木で、夏は参道に濃い影をつくる。
行事と利用
一年でいちばんにぎわうのは、2月はじめの初午の日である。初午は稲荷神が降りた日とされ、この日には油揚げやいなりずしがお供えされ、町内の人が集まって祈願を行う。正月には初詣の人が列をつくり、年末には町内会による大掃除と注連縄の取り替えがある。ふだんは、願いごとのある人が静かに手を合わせる場所であり、遠くの病気の回復や家族の無事を願って通う人も少なくない。雪の多い季節には、雪をかぶった鳥居と狐が、この町らしい冬の景色をつくる。
周辺
周辺は、古い家と新しい住宅が混ざる静かな町並みで、坂道と細い路地が多い。市内には白壁の土蔵が並ぶ通りなど、見どころも点在するが、稲荷さんは観光の名所ではなく、あくまで暮らしのそばにある身近な神社である。町の人にとっては、季節の節目に顔を合わせ、境内で立ち話をする場所でもある。参拝のときは、鳥居の前で一礼し、手水で手を清めてから社殿に進むのが習わしとなっている。