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はまぐり寺(はまぐりでら)
桑野市の旧市街にある浄土真宗系の寺で、境内の蛤の供養碑にちなみ「はまぐり寺」と呼ばれる。本堂のまわりに墓地があり、法要や墓参りの人が訪れる。
概要
はまぐり寺は、桑野市の旧市街にある浄土真宗系の寺である。正式な寺号とは別に、境内に蛤の供養碑があることから、地元では「はまぐり寺」の呼び名で親しまれている。本堂のまわりに墓地があり、法要や墓参りで訪れる人が絶えない。焼きはまぐりが名物の桑野市らしく、蛤とのかかわりを今に伝える寺として知られる。市民にとっては、観光の名所というより、先祖を供養し、人生の節目に手を合わせる身近な菩提寺である。
所在地とアクセス
寺は桑野市の中心部に近い今央町にある。城下町・港町として栄えた旧市街の一角で、かつての海路の渡し場跡や川沿いの古い町並みも、歩いて行ける範囲にある。公共交通ではバスで「末栄町」停留所まで行き、そこから徒歩で2分ほどである。駅からも歩ける距離だが、旧街道筋の細い道を通るため、案内の看板を頼りに進むとよい。車で来る場合は、境内に隣接する小さな駐車スペースを使うが、台数は限られており、お彼岸や法要が重なる日は近くの駐車場を探す人も多い。
歴史
この一帯は、江戸時代の初めには漁村だったと伝えられる。当時の浜辺は蛤の貝殻が厚く積もり、地面が貝殻で覆われているほどだったという。文政年間(1818〜1831年)、この地に住む人が、尽きることのない貝殻の山を目にして、蛤への感謝と供養のために碑を建てた。これが境内に残る「蛤塚」の始まりとされる。寺はその後も、旧市街の門徒の菩提寺として、法事や葬儀を引き受けながら続いてきた。明治以降は、町の姿が漁村から市街地へ変わるなかでも、墓地を守り、門徒の家々とのつながりを保ってきた。
見どころや特徴
最大の特徴は、蛤塚である。海の恵みをいただく町が、命を落とした貝に手を合わせるという素朴な祈りの形を、石の碑として残している。碑は境内の一角にあり、寺の由来を知る人は、本堂へお参りする前にここで手を合わせていく。境内は大きくはないが、手入れが行き届き、静かで落ち着いた雰囲気がある。本堂の裏手から側面にかけて墓地が広がり、区画ごとに整えられた墓石が並ぶ。墓地には水道と桶、柄杓が用意され、線香や花を持ち込んで気軽に参れる。敷地の周囲は塀と植え込みで囲まれ、通りの賑わいから少し離れた静けさがある。
行事や利用
寺では、春と秋のお彼岸、お盆、年末などに、墓参りの人が増える。年忌法要では、本堂で僧侶の読経を受け、そのあと家族で墓地へ移って焼香するのが一般的な流れである。三回忌や七回忌などの法事は、親族が遠方から集まるため、週末に行われることが多い。このほか、納骨や墓じまいの相談、永代供養の問い合わせにも応じている。風の強い日は線香に火がつきにくいため、墓参りの人は、マッチやライターのほか風よけを持参すると安心である。
周辺
周辺は、旧市街の住宅地と古い商家、寺が点在する静かな一帯である。少し歩けば、街道の海路の渡しの跡や、川沿いの遊歩道に出られる。市内にはほかにも、焼きはまぐりを味わえる店や、毎年にぎわう石曳祭の会場があり、墓参りのあとに町を歩いて過ごす人もいる。市の行政手続きは桑野市役所が担っており、墓地や埋葬に関する相談の窓口もそこにある。