生活環境データベース » place
桑野市(くわのし)
三重県北部、三つの大きな川が海へ注ぐ河口に広がる城下町・港町。焼きはまぐりが名物で、にぎやかな石曳祭でも知られる。
概要
桑野市は三重県の北部にある市で、三つの大きな川が伊勢湾へ注ぐ河口の平らな土地に広がっています。西に鈴鹿の山並み、北に養老の山並みを望み、東には濃尾平野が続きます。三つの川と海水が混ざり合う汽水域が広がるため、古くから貝や魚に恵まれ、とくに焼きはまぐりは「その手は桑野の焼きはまぐり」という言い回しとともに全国に知られてきました。面積は約137平方キロメートル、人口はおよそ13万人で、県内でも有数の人口をもつ市です。
位置と地形
市域は川と海に囲まれ、輪中と呼ばれる堤で守られた低い土地が多く見られます。愛知県、岐阜県と県境を接し、名古屋方面へ通う人も多い土地柄です。川の水と海水が混ざる河口の環境が、ふっくらと身の大きなはまぐりを育てます。一方で、洪水や高潮に備える堤防と水門が暮らしを守ってきた歴史があり、水とともに生きるまちといえます。
歴史
江戸時代、桑野は街道の宿場町、桑野城を中心とする城下町、そして港町として栄えました。街道のなかで唯一の海路にあたる渡しが、ここと名古屋方面の宿とを約28km(七里)の船旅で結び、旅人や荷物が行き交う玄関口でした。城は海に面した水城で、堀に水を引き込む造りから、街道の名城とたたえられました。城の本丸と二之丸の跡は、いまは九花公園として整えられ、堀と石垣、春の桜、初夏のつつじや菖蒲が市民に親しまれています。現在の市は、平成16年(2004年)12月6日に3つの自治体が合併して発足しました。
名物と産業
名物の焼きはまぐりは、大ぶりの貝を炭火で殻ごと焼き、旨みを閉じ込めたもので、市内の料理店や土産物の店が提供します。貝の佃煮であるしぐれ煮や、街道の餅菓子として知られる安長餅も名物です。はまぐりの漁獲は一時大きく落ち込みましたが、資源を守る取り組みで回復し、2008年には約140トンまで戻りました。産業では、鋳物づくりをはじめとする金属加工が根づいており、鋳造の工場は約34、働く人は1,300人を超え、年間の出荷額は約394億円(2002年)でした。農業では、長洲地区のトマト(年約1,000トン)や多渡地区のみかんが知られます。
行事と見どころ
8月には、金属の鉦と太鼓を打ち鳴らして祭り車が町を巡る石曳祭が開かれ、「日本一やかましい祭」と呼ばれます。この祭りは国際的な無形文化遺産にも登録されています。春には多渡地区の神社で、馬が坂を駆け上がる神事が行われます。観光では、大型の遊園地・長洲パークが市の北部にあり、温泉やリゾート施設とあわせて県外からの客も多く訪れます。また、庭園をもつ旧い邸宅や、渡し場跡の常夜灯、城下の古い町筋も散策の人気コースです。
交通
鉄道は、民営の鉄道会社の本線と、名古屋方面へ直通する私鉄の線が通り、桑野駅が市の玄関口になっています。南北に走る高速道路と国道が市内を通るため、名古屋圏や大坂方面とも行き来しやすく、通勤や物流の拠点にもなっています。
市の暮らしと行政
市の行政事務は桑野市役所が担っています。市内には、墓地を備えた寺としてはまぐり寺があり、はまぐりにちなむ名で呼ばれる寺として地元の人に知られています。川と海の恵みを受け、城下町の名残と工業、農業が同居する、落ち着いた暮らしのまちです。