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みくに座(みくにざ)

別名: みくに座の前、みくに座、みくにざ

長波市内にある、明治の終わりごろに始まった古くからの小さな芝居小屋。木造の客席に桝席や花道を残し、歌舞伎などの芝居を今に伝えている。

概要

みくに座は、長波市内の駅の南側にある、古くからの小さな芝居小屋です。木造二階建ての和風の建物で、一階の桝席を囲むように、上の階の席が重なります。最上層の席は数が少なく、舞台からは遠いものの、役者の動きが全体に見渡せることから、通の客が好んで選びます。小ぢんまりした広さのため、舞台と客席の距離が近いのが持ち味です。

所在地とアクセス

長波市の中心部、ひかり駅の南にあたる町並みの一角に建っています。近くに小さな公園があり、その南東側、旧街道の北沿いに入口があります。駅からは歩いて数分で、駅前ではひかり駅前のバス停のバスを待つ人の姿も見かけます。周囲は商店と住宅が混ざる落ち着いた通りで、公演の日は開演前に入口の前へ人が集まります。

歴史

もとは明治の終わりごろに「清和館」の名で開かれた小屋でした。大正5年(1916年)前後に、いまの「みくに座」へ名を改め、地元の芝居興行の場として親しまれるようになります。戦後の昭和23年(1948年)10月には、一時期、映画の上映へ軸足を移しました。昭和32年(1957年)には封切館として映画を専門に掛けた時期もあり、そのころの客席数は、当初の約700席から、時代とともに400席ほどへ段階的に減りました。昭和35年(1960年)には隣の土地に鉄筋コンクリート造の映画館が建てられ、映画の上映はそちらに任されるようになりました。その後、木造の小屋は本来の芝居小屋としての姿を取り戻し、いまに続いています。

建物と設えの特徴

建物は木造二階建ての和建築で、瓦屋根の外観と、昔ながらの格子のある入口が目印です。客席は、床に区切りのある桝席が中心で、座布団に座って観ます。舞台の脇には花道が通り、役者が客席の間を通って登場する場面では、すぐ近くを役者が歩く迫力が味わえます。幕は引き幕で、幕が引かれる直前、役者が見得を切ってぴたりと止まる瞬間は、後ろの席にも届くと言われます。席数は決して多くなく、満員になると、客席全体がひとつの息づかいになるような一体感が生まれます。

行事や利用

主な演目は、歌舞伎などの芝居で、地元の劇団や、旅の一座の公演も開かれます。祭りの時期には、子どもたちが演じる芝居の稽古の場として使われることもあります。また、町内の発表会や、地域の人が集まる催しにも、貸し小屋として利用されてきました。冬場は底冷えがするため、客は膝掛けや厚手の上着を持って訪れます。近年は、客席の間隔を空けて座る工夫や、マスクの着用を呼びかけるなど、感染対策をしながら公演が続けられています。

周辺と地域とのかかわり

長波市は湖に面した城下町であり、古くから人が集まる土地でした。みくに座の周辺には、法事や会合で使われる仕出しの店山路屋など、暮らしを支える店が点在します。観劇の帰りに近所の店で食事をする人も多く、芝居の日は、通り全体に華やぐ空気が流れます。古い小屋を大切に使い続けることは、町の記憶を受け継ぐ営みでもあり、世代をこえて通う家族連れの姿も見られます。

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