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柚屋豆腐店(ゆずやとうふてん)

別名: 柚屋、柚屋のざる豆腐

伊万野市の旧市街にある、昔ながらの小さな豆腐店。国産大豆とにがりだけでつくるざる豆腐で知られ、朝早くから近所の人が買いに訪れる。

概要

柚屋豆腐店は、佐賀県伊万野市の旧市街にある、昔ながらの小さな豆腐店です。国産の大豆とにがりだけでつくる豆腐を、朝早くから店先に並べています。看板の「ざる豆腐」は、寄せた豆腐を竹のざるにくみ上げてつくる一品で、大豆の濃い旨味と甘みが口に残ると言われます。近所の人が毎日の食卓の分を買いに来る店であり、遠方から買いに訪れる人や、贈り物に求める人も多くいます。

所在地とアクセス

店は伊万野市の古い町筋に面しています。通りには間口の狭い商家が並び、昔の城下の面影が残っています。駅や港からは車で10分ほどで、店の前に数台分の駐車場があります。営業は朝から昼過ぎまでで、豆腐がなくなり次第閉まる日もあります。隣には、豆腐を中心にした食事処が別棟で営まれています。伊万野市は、江戸時代から磁器を積み出した港のまちとして知られ、山あいの窯元の里と臨海部の産業が並び立つ土地です。柚屋は、そのまちの暮らしに根づいた店の一つとして、長く日々の食卓を支えてきました。

歴史

創業は江戸時代の寛政年間(1789〜1801年)と伝わります。当時は、藩のお殿様のもとへ豆腐を納める店だったとされ、城下では豆腐づくりの家として知られていました。明治以降も、代々の家族が同じ場所で店を続けています。戦後は、機械を入れて量をつくる店が増えましたが、柚屋は手作業の工程を大きく変えませんでした。昭和の終わりごろに店の隣へ食事処を開き、豆腐を料理として味わえるようにしました。その後も代替わりを重ね、二百年を超えて、同じ水と同じ工程の豆腐をつくり続けています。

豆腐づくりの特徴

原料は、契約した農家が育てる国産大豆です。前の晩に水に浸した大豆をすりつぶして煮、搾って豆乳をとります。この豆乳に、にがりだけを加えて固めます。凝固剤にはにがり以外のものを使いません。固まった豆腐を竹のざるにそっとくみ上げ、水をきるのが、ざる豆腐の工程です。ざるの目から余分な水が自然に落ちるため、大豆の味がぎゅっと詰まった、しっかりした口あたりに仕上がります。そのまま食べるときは、塩や少しの醤油でいただくと、大豆の甘みがよくわかります。ざる豆腐のほかに、木綿豆腐や絹ごし豆腐、油揚げ、がんもどきなども店先に並びます。

商品と食事処

店の豆腐は、一丁が手ごろな値段で、冷たい水をはった容器に入れて渡されます。冬は湯豆腐、夏は冷ややっこと、季節ごとに買い求める人が変わり、年末には煮物用の厚揚げも出ます。隣の食事処では、豆腐を主役にした定食や、豆乳を使った汁ものなどが出され、昼どきには地元の人や観光客でにぎわいます。出来たての豆腐をその場で食べられることが、店の楽しみの一つになっています。贈答用の詰め合わせも用意され、遠方へ送る人もいます。

地域とのかかわり

柚屋豆腐店は、朝の早い時間に店を開け、通りに豆腐のにおいを漂わせる、旧市街の朝の風景の一部です。店先では、買い物に来た人と店の人との立ち話が絶えません。町内の行事や祭りのときには、豆腐の差し入れをするなど、地域とのつながりを大切にしています。地元の農家の大豆を使うことで、畑と食卓をつなぐ役目も果たしています。小さな店ながら、まちの食の文化を静かに受け継いでいます。

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