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花車寺(はなぐるまでら)
小室市の住宅地の外れにある禅宗の小さなお寺。小室城の黒門を山門として受け継ぎ、裏手に地元の家のお墓が並んでいる。
概要
花車寺は、小室市の住宅地の外れにある禅宗の小さなお寺である。本尊は釈迦牟尼仏で、「運の良くなる寺」とも呼ばれて親しまれている。境内の裏手には地元の家のお墓が並び、法要や墓参りに訪れる人が絶えない。大きな伽藍を構える寺ではないが、古い創建の伝えと、城の門を受け継いだ山門をあわせもつ、土地の歴史を静かに伝える寺である。宗派は臨済宗で、地域の家々の菩提寺としての役目を長く担ってきた。
所在地とアクセス
寺は小室市の城あとに近い住宅地の外れにあり、市街地の喧騒から少し離れた静かな一角にある。北には浅峰山を望み、晴れた日には境内からも山の稜線が見える。民営の鉄道会社の高原を走る線や、第三セクターの鉄道の駅から歩いて訪ねることができ、車で来る人のために境内の脇に小さな駐車スペースがある。参道は短く、山門をくぐるとすぐに本堂の前庭に出る。
歴史
創建は平安時代中ごろ、11世紀前半にさかのぼると伝わる。時の天皇の勅願仏として始まったとされ、本尊の釈迦牟尼仏は平安後期の名高い仏師の作と伝えられる。はじめは天台宗の寺であったが、のちに臨済宗の禅寺となった。
明応3年(1494年)には、近くの平野原城の城主が天英祥貞禅師を招いて寺を中興した。ところが天文18年(1549年)、甲斐の戦国大名が平野原城を攻めた際の戦火で、寺の堂宇は焼失してしまう。現在の本堂は宝暦11年(1761年)に再建されたもので、以後、戦国の世をくぐった寺として、地元の家々の菩提寺の役目を担ってきた。
見どころ
最大の見どころは、小室城の黒門(一ノ門)である。この門は、城の本丸へ入る手前の最後の関門にあたり、江戸時代初めの慶長18年(1613年)に初代藩主が築き始めたと伝わる。明治4年(1871年)に最後の藩主から寺へ寄進されて移され、今も山門として残っている。黒ずんだ柱と重厚な屋根が、城下町だった頃の面影をとどめている。
本堂の前には「巨大なお釈迦様」と呼ばれる大きな釈迦像が安置されており、遠くからでも目に入る。本堂の中の本尊とあわせて、お参りの人が手を合わせていく。
墓地と暮らし
本堂の裏手には墓地が広がり、地元の家のお墓が整然と並んでいる。春秋のお彼岸やお盆には、家族連れが花や線香を手に訪れ、墓石を洗って手を合わせる姿が見られる。冬に雪が降ったあとは、屋根の雪どけ水が落ちる音が響く中で、ほうきで雪をはらい、墓前に花を供える光景も恒例である。寺は法要や納骨の相談にも応じ、檀家の人びとが境内の掃除や行事を分かち合って、寺を守っている。
行事と利用
年間を通じて、元日の初参り、春と秋のお彼岸の法要、お盆の施餓鬼供養などが営まれる。そのほか、座禅の会や写経の集いが開かれることもあり、檀家に限らず、散歩の途中に立ち寄る人にも境内は開かれている。運を願って山門の下で一礼してから参る人も多く、静かな参拝の場として親しまれている。
周辺
周辺には城あとの公園や古い街道筋の町並みがあり、寺とあわせて歴史を感じながら歩くことができる。味噌や調味料の工場がある土地柄で、近くにはやまぶき味噌のような老舗もあり、街道の商都として栄えた小室市の暮らしの空気を感じられる。住宅地に近い立地のため、朝夕には近所の人の散歩の道筋にもなっている。