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北嶺メモリ工業株式会社(きたみねめもりこうぎょうかぶしきがいしゃ)

別名: 北嶺メモリ工業、北嶺メモリ

岩手県の北嶺市内に大きな工場を持ち、3次元構造のフラッシュメモリなど半導体メモリを製造する会社。2020年に第1製造棟、2025年に第2製造棟が稼働し、親会社の国内主力の生産拠点のひとつとなっている。

概要

北嶺メモリ工業株式会社は、岩手県の北嶺市内に大きな工場を持ち、半導体メモリを製造する会社である。主力は、記憶素子を縦に積み重ねた3次元構造のフラッシュメモリで、スマートフォンやパソコン、データセンターの記憶装置などに使われる。親会社が世界的に展開するメモリ事業のうち、国内の主力の生産拠点のひとつとして位置づけられている。工場は、北嶺川がつくった平野に広がる工業団地の一角にあり、市の産業と雇用を支える大きな存在である。

沿革

北嶺市の工場は、2010年代後半に建設が始まった。第1製造棟(K1棟)は2019年10月に完成し、2020年に稼働を開始して、96層の3次元フラッシュメモリの生産に入った。その後、需要の拡大を見込んで第2製造棟(K2棟)の建設が2022年に着工され、2024年に建物が完成した。2025年9月30日にK2棟が稼働を始め、第8世代にあたる製品などの生産を行っている。2026年前半には本格的な出荷が始まる見通しである。なお、社名は2021年ごろに親会社の社名変更にあわせて現在の形になったとされる。

事業と製品の特徴

製品の中心は、親会社が開発した3次元フラッシュメモリ「BiCS」シリーズである。K1棟では96層の製品が生産され、K2棟は162層の第6世代以降の製品を製造する計画で建てられた。現在はK2棟で、制御回路を作ったウエハーとメモリセルを作ったウエハーを貼り合わせるCBA(CMOS directly Bonded to Array)という技術を使った218層の製品なども量産されている。層を増やし、貼り合わせで回路を分けることで、同じ面積により多くのデータを記憶でき、書き込みや読み出しの速度も高められる。完成したウエハーは検査を経て、親会社のグループ内でチップに切り出され、パッケージされて、各種の記憶装置として世界の顧客へ届けられる。

施設と規模

工場の建物は、製造棟ごとに独立した大規模なクリーンルームを備える。半導体の製造では、空気中の微細なちりが不良の原因になるため、温度や湿度、清浄度が厳密に管理されている。K2棟は、地震の揺れを抑える免震構造を取り入れ、省エネルギー型の製造装置や、AIを活用した生産管理など、環境負荷を減らし歩留まりを高める工夫を盛り込んだ。製造装置の導入は、親会社と関連の装置メーカーが連携して進めており、投資規模は数千億円とされる。敷地内には、製造棟のほか、電力や純水を供給する設備、排水や排ガスの処理設備、事務棟などが並ぶ。

地域とのかかわり

北嶺市には、半導体や自動車部品の工場が集まる北登市をはじめ、周辺に関連の企業が多い。工場の稼働により、市内外から多くの従業員が働き、取引先の部品・材料メーカー、物流、設備保守の会社なども地域に根づいた。工場は、地元の高校や高等専門学校の卒業生を継続して採用し、見学の受け入れや出前授業など、ものづくりを学ぶ機会の提供にも取り組んでいる。また、北嶺市の工業団地の整備や、水と電力の安定した供給の面でも、市や県と連携している。医療の面では、市内に総合病院の北嶺清和病院があり、従業員とその家族を含む市民の暮らしを支えている。

市とのつながりと今後

北嶺市は、人口約8万6千人で、北嶺川の平野に市街地と工業団地、水田が広がる北嶺市である。工場の拡張は、市の税収や就業の機会を増やす一方、住宅や道路、物流の整備といった課題も生んでいる。今後は、AIの普及によるデータ量の増加を背景に、記憶装置の需要が伸びると見込まれ、K2棟の生産能力の引き上げと、さらに高層で高性能な世代の製品への移行が進められる予定である。同社は、品質と安定供給を保ちながら、地域と共に成長する工場を目指している。

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