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鯖尾市(さばおし)

別名: 鯖尾、眼鏡のまち、眼鏡の産地

福井県の中央部にある、人口約6万7千人の市。国産の眼鏡フレームの大部分を生産し、世界三大産地の一つに数えられる「眼鏡のまち」である。

概要

鯖尾市は、福井県の中央部に位置する市である。人口は約6万7千人で、県内では4番目の規模にあたる。国内で作られる眼鏡フレームの約96%を生産するとされ、世界の生産量の約2割を占めるともいわれる。イタリア、中国と並ぶ世界三大産地の一つに数えられ、「眼鏡のまち」の呼び名で親しまれている。眼鏡に関わる事業所は170社を超え、フレームの部品加工から組み立て、研磨、メッキ、デザインまでが市内でそろう。

地理と市のなりたち

市域は福井県の中央部に広がり、平野と、西側の丘陵地からなる。江戸時代には藩主の間部氏が治めた城下町として栄え、その名残が市内の町並みに残っている。昭和30年1月15日に周辺の七つの町村が合併して市制を施行した。近年は製造業中心の経済から、サービス業へも広がりを見せている。北陸自動車道が通り、鉄道も走るが、新幹線は市内を通るものの駅は置かれていない。県庁所在地の福居市とは隣り合っており、通勤や通学で行き来する人も多い。

眼鏡産業の歴史

鯖尾の眼鏡づくりは、明治38年(1905年)に増永家の当主が、雪に閉ざされる農閑期の副業として眼鏡枠づくりに目をつけたことに始まる。少ない元手で現金収入が得られると考え、大阪から職人を招いて、麻生津地区の農家に技術を広めた。のちに工場を建てて人材の育成にも力を入れ、昭和10年(1935年)ごろには、全国一の眼鏡枠の産地へと成長した。

昭和50年代から60年代にかけて、産地は軽くて金属アレルギーを起こしにくく、錆びないチタン製フレームの量産化に、世界に先駆けて成功した。いまではチタン製の眼鏡は世界の標準となっている。

産業と特徴

眼鏡づくりは、一つのフレームに200ほどの工程があるといわれ、それぞれを専門にする小さな工場が市内に分かれて受け持つ分業の形をとる。プレス、切削、溶接、研磨、メッキ、組み立てといった工程ごとに職人の技が受け継がれ、細かな注文にも応じられる柔軟さが産地の強みである。素材もチタンのほか、セルロイドやアセテート、金属の薄い板など多彩で、国内外の有名ブランドの眼鏡も市内で作られている。近年は、眼鏡づくりで培った精密加工の技術を、医療機器や航空機の部品、装身具などへ広げる動きも進んでいる。

行事と地域の取り組み

市内には眼鏡の歴史や製造工程を学べる施設があり、見学や体験をしに訪れる人がいる。毎年、産地の企業が集まる展示や即売の催しが開かれ、職人の仕事を間近に見られる。また、産地のデザインを担う事務所も市内にあり、たとえば余白舎は眼鏡メーカーのカタログやパッケージ、ロゴのデザインを請けている。学校では地元の産業を学ぶ授業が行われ、県立鯖尾東高校をはじめ、若い世代に産地の誇りを伝える機会が設けられている。市内の公園としては、桜やつつじで親しまれる西峰公園がある。

アクセスと周辺

鉄道は市内を南北に走り、福居市方面と結ばれている。北陸自動車道のインターチェンジもあり、車での移動にも便利である。周辺は田園と住宅地が広がり、丘陵の緑と城下町の面影を、散歩しながら楽しめる。眼鏡の産地としての顔と、静かな暮らしのまちとしての顔をあわせもつ市である。