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糸浜市(いとはまし)

別名: 糸浜、海人のまち

沖縄県南部の海沿いにある市。古くから漁業で栄えた「海人のまち」で、漁港に近い市街地と海に近い住宅地、内陸の畑と、戦跡を訪ねる人の絶えない南端の丘陵をあわせもつ。

概要

糸浜市は、沖縄県の島の最南端に位置する海沿いの市です。市域は南北に細長く、北西の海岸に沿って漁港と中心市街地が開け、その背後に住宅地が広がります。南東側は平坦な低地と石灰岩の台地が続き、畑や牧場が点在します。人口は約6万人で、近年は那覇方面の奈覇市へ通う世帯の住宅地としても増えています。古くから、小さな舟で沖へ出る漁師を指す「海人(うみんちゅ)」の町として知られ、「海人のまち」の呼び名で親しまれています。

所在地とアクセス

島の南部、奈覇市の中心部から南へ車でおよそ30分の距離にあります。奈覇市と市内を結ぶ幹線道路が国道として南北に通り、市街地を抜けて南の海岸へ向かいます。鉄道はなく、移動の中心は路線バスと自家用車です。市の行政は糸浜市役所が担い、住民課、福祉課、税務課などの窓口が置かれています。漁港の周辺は道が細く、海に近い住宅地では石垣やフクギの屋敷林が残る路地が見られます。

歴史

市の西側の海岸は、かつて追い込み漁を得意とする漁師が多く暮らした土地で、その漁法は島内各地や遠い海へも伝えられました。島の南端にあたる丘陵地帯は、昭和20年の戦争の末期に激しい戦闘の舞台となり、終戦間際の記憶を伝える土地として知られます。戦後は、近隣の町や村が昭和36年に合流して町となり、昭和46年に市制を施行しました。のちに隣の村との合併を経て、現在の市域になっています。漁業の町から、観光と住宅、農業をあわせもつ市へと姿を変えてきました。

産業

水産業は今も市の柱で、漁港には近海の魚や貝が水揚げされ、朝には競りと直売が行われます。町の一角には、魚をすり身にして揚げる家族経営の店もあり、浜本蒲鉾店のような蒲鉾と天ぷらの店が、日々の食卓や祝いの席に品を届けています。内陸部では、ニンジン、トマト、ゴーヤー、マンゴーなどの農産物が栽培され、市の特産として直売所や道の駅に並びます。南部には畜産を営む家もあります。

見どころ

島の南端の丘陵に整えられた平和祈念の丘公園は、海へ落ちる崖と、サンゴ礁の広がる眺めで知られ、資料館や慰霊の碑が並びます。市街地には、漁の安全を願ってきた小さな祠や、海人が信仰してきた古い社があり、町歩きの途中に立ち寄る人が多くいます。海岸には白い砂浜と、夕日を眺められる展望の場所があり、地元の人のジョギングや散歩のコースにもなっています。

行事

海にまつわる行事が年間を通じて行われます。旧暦5月4日の「糸浜ハーリー」は、漁師が舟の速さを競って海の恵みと安全を祈る行事で、漁港の入り江にたくさんの舟が並びます。旧暦7月16日に近い旧盆の時期には、東西に分かれた町内が大きな綱を引き合う「大綱引」が行われ、町じゅうが集まる大きな祭りになります。ほかにも、海の神に感謝を捧げる「海神祭」など、漁業と結びついた祈りの行事が続いています。

周辺との関係

北は奈覇市に近く、さらに北には浦副市があり、島の中南部が一つの生活圏としてつながっています。県の総合病院である中南総合病院も、車で通える範囲にあり、市民の医療を支えています。南端の海は朝明けと夕暮れの景色が美しく、海と戦跡、市場と畑を一度に巡れる市として、日帰りで訪れる人にも親しまれています。

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