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三吉網組(さんきちあみぐみ)

別名: 三吉組、三吉の網

観波市の港を拠点に、いわし漁を行う小型の船びき網の組。2隻の網船、探知船、運搬船の4隻で魚群を囲み、夏の漁期に水揚げしたカタクチイワシを港の近くで加工する。

概要

三吉網組は、観波市の港を拠点に、いわし漁を行う小型の船びき網の組である。2隻の網船が長い網を引き合って魚群を囲む漁法をとり、獲るのは主にカタクチイワシ。水揚げの多くは、煮干し(いりこ)の原料になる。組の漁船は、市内の漁業者がつくる観波漁業協同組合の組合員の船として港に係留され、水揚げや出荷もこの港を中心に行われている。

漁のしくみ

漁は4隻の船が役割を分けて行う。網を引く本船が2隻、海面や魚群探知機で群れの位置を探す探知船が1隻、獲れた魚を港へ運ぶ運搬船が1隻である。探知船が群れを見つけると、2隻の本船が左右から網を張りながら回り込み、魚群を囲い込む。網は全長が300mほどになり、両側から引き寄せて袋状に絞ったところで、魚をすくい上げて運搬船に移す。

網を引く本船には、船頭のほか数人の漁師が乗り込む。群れの動きは潮と天気に左右されるため、探知船の見立てと、2隻の呼吸の合い方が漁の出来を決めるといわれる。

漁期と漁場

漁期は、例年6月中旬から9月中旬までの夏場である。漁場は、組の港から沖に出た、瀬戸内海の中ほどに広がる浅い海域で、プランクトンが豊富なため、カタクチイワシの好漁場として知られる。夜明け前に出港して群れを追い、午前のうちに港へ戻る日が多い。禁漁期や休漁日は、組合の取り決めに従う。

水揚げと加工

三吉網組の特色は、漁と加工を切り離さず、一つの組が続けて行う点にある。水揚げされたイワシは、獲れてから30分ほどで港のそばの加工場へ運ばれ、すぐに釜で煮沸される。その後、10〜20時間ほどかけて乾燥させ、選別してから箱に詰める。出荷は1〜3日後で、鮮度が落ちないうちに仕上がるため、だしの香りと脂の少なさが評価されている。

煮干しはだし用として、うどん店や家庭、問屋へ売られる。観波市の周辺はいりこの産地として知られ、この地域のうどん文化とも結びついている。

組の成り立ち

組の名は、網と船を最初に所有した網元の名に由来するとされ、代々の網元が家業として受け継いできた。網元が網と船を持ち、漁師を雇って漁に出る形が基本で、収入は水揚げ高を分け合う歩合制が長く続いた。近年は後継ぎの確保や、燃料代の上昇が課題になり、船を減らして効率よく操業する工夫や、若い漁師を迎える取り組みが進められている。

地域とのかかわり

夏のいりこ漁の時期になると、港には朝から運搬船が着き、加工場から立ちのぼる湯気とだしの香りが漂う。港の駐車場や岸壁の使い方は、観波漁業協同組合が取りまとめており、三吉網組もこの決まりに沿って操業している。獲れたてのイワシを分けてもらう近所の人も多く、港の夏の風景として親しまれている。

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