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山室市(やまむろし)

別名: 山室、山室温泉のまち

熊本県北部にある人口約4万5千人の市。山あいと平地の境にあり、菊瀬川の流域に開けた温泉宿場の町並みと、八千歳座、山室灯籠まつり、栗の産地で知られる。

概要

山室市は、熊本県北部にある市である。面積は約300平方キロメートル、人口は約4万5千人で、熊元市から北へ約30kmの距離にある。北は福岡県、東は大分県の方向に山地が連なり、南西側には菊瀬川の流域の平野が広がる。山あいと平地の境にあたるため、山の斜面の栗畑や茶畑、川沿いの水田、温泉街の古い町並みが一つの市の中に並ぶ。

位置と地勢

市の北部と東部は山地で、谷あいの集落が点在する。中央部から西部にかけては菊瀬川が流れ、その恵みで古くから稲作が営まれてきた。8世紀の条里制の跡をとどめる水田では、いまも米づくりが続けられている。気候は内陸性で、夏は暑く、冬は朝の冷え込みが強い。

歴史

市域には、古代の山城である菊智城の跡があり、国の史跡に指定されている。江戸時代には、藩主が参勤交代の途中で宿泊する温泉宿場として栄えた。湯の出る町の中心には藩主家の休憩所である御茶屋が置かれ、これがのちの共同浴場の起こりとされる。

1954年4月に市制を施行し、2005年1月に周辺の4つの町と合併して、現在の山室市となった。合併により市域は大きく広がり、平野部の市街地に山あいの農村と林業の地域が加わった。

温泉と町並み

市の中心部には、江戸時代からの湯の町がある。町の象徴は、藩主家の御茶屋に由来する共同浴場「さくらの湯」で、明治31年に大規模な改修が行われ、大型の木造の温泉建築として親しまれてきた。周辺には、和紙と木組みの工芸の技を伝える店や、石畳の路地、古い商家の並ぶ通りが残り、歩いて回る観光客が多い。市内にはほかにも温泉地が点在し、これらを合わせて「六湯郷」と呼ぶことがある。

八千歳座と山室灯籠

町なかには、明治末に建てられた芝居小屋「八千歳座」がある。枡席や花道、回り舞台など、江戸時代の歌舞伎小屋の様式を伝える木造の劇場で、国の重要文化財に指定されている。一時は使われなくなったが、市民の保存運動によって修復され、いまは歌舞伎や演芸の公演の場になっている。

「山室灯籠」は、和紙と少量ののりだけで作る精巧な紙細工の灯籠で、神社や寺の奉納品として発達した。毎年8月15日・16日の山室灯籠まつりでは、頭に灯籠を載せた女性たちが、夜の町を踊り歩く。この祭りは、市を代表する行事である。

産業

農業では、西日本でも有数の栗の産地として知られ、秋には収穫と出荷が最盛期を迎える。米、スイカ、トマト、葉たばこ、茶なども育てられ、山あいでは畜産や林業も営まれる。栗を使った菓子や、和紙・灯籠の工芸品、温泉に関わる宿泊業と観光が、市の暮らしを支えている。農機具の販売と修理を手がける会社として、山室農機株式会社 がある。また、弁当や惣菜の店 yamabuki-tei も町なかで親しまれている。

交通

市内に鉄道の駅はなく、最寄りの駅は隣の玉南市にある新玉南駅などである。鉄道の代わりに、路線バスと乗合タクシーが市街地と各地区を結ぶ。自動車道が市の西部を通るが、市内にインターチェンジはなく、隣の市のインターから入る。

地域とのかかわり

山室市は、観光客のにぎわいと、昔ながらの農村の暮らしが重なるまちである。灯籠まつりや温泉祭の準備は、町内会や商店の人びとが担い、町並みの保存や芝居小屋の運営にも、多くの市民が関わっている。同じ熊本県北部の玉南温泉を抱える 玉南市 や、温泉と栗の菓子で知られる 玉波市 とは、観光や農業の面で近い関係にある。

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