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八石市(やついしし)
青森県の太平洋側にある、人口約20万人の港町。水揚げの多い漁港と工業港をもち、青森県南東部の中心として、ウミネコの島や海岸の景色、三社大祭で知られる。
概要
八石市は、青森県の南東部、太平洋に面した港町である。人口は約20万人で、県内では県都の青渚市に次ぐ規模をもつ。面積は約305平方キロメートルで、海沿いの市街地と港、内陸の台地や農地、川沿いの住宅地が一つの市の中に並ぶ。水産業、工業港としての港湾、新幹線の駅を備えた交通の拠点という三つの顔をもち、県南東部から隣の県境にかけての広い地域の中心として、商業や行政、医療の機能を担っている。
地理
市域は太平洋に向かって開き、北から南へゆるやかな海岸線が続く。海沿いには砂浜と岩場が交互に現れ、沖合では寒流と暖流がぶつかるため、魚の種類が豊かである。夏は海から冷たい風(やませ)が吹いて霧や曇りの日が多く、冬は同じ青森県でも日本海側に比べて雪が少なく、空気が乾いた晴れの日が目立つ。一方で気温は低く、朝晩の冷え込みは厳しい。
歴史
中世には、南峰氏が1334年に根ヶ城を築いたことが、このまちの起こりとして語られる。江戸時代前期の1664年に八石藩が成立し、城下町と港町として栄えた。明治以降は漁港と鉄道の整備が進み、1929年5月1日に市制を施行した。戦後は港の拡張と工業用地の造成が進み、製紙・化学・飼料などの工場が臨海部に立ち並ぶようになった。2002年12月には新幹線が八石駅まで延びて、首都圏との行き来が大きく便利になった。
産業
八石漁港は、全国でも指折りの水揚げ量を誇る。近年は年間4万トン台の水揚げがあり、イワシ、サバ、イカが中心である。ほかに白浜漁港、深久保漁港など、市内に複数の漁港が点在する。魚市場の周辺には、水産加工の会社や冷凍倉庫、運送会社が集まり、塩干物や缶詰、さつま揚げなどの練り物が全国へ出荷される。港は漁港と工業港、フェリー港を兼ねており、北海道へ向かう長距離フェリーも発着する。臨海部には製紙や飼料、非鉄金属の工場が並び、港に出入りする貨物が市の経済を支えている。
見どころと行事
海辺では、ウミネコが繁殖する小さな島が知られ、春から初夏にかけて数万羽が島を覆う。種浜海岸は、天然の芝が海岸近くまで広がる景勝地で、散策に訪れる人が多い。館崎の岸壁では、日曜の早朝に朝市が開かれ、地元の魚介や野菜、惣菜が並ぶ。
行事では、毎年夏の終わりに行われる八石三社大祭が代表的で、豪華な山車が市中を練り歩く。国の重要無形民俗文化財に指定され、市内外から多くの人が訪れる。冬から早春にかけては、烏帽子をかぶった舞い手が祝い唄にあわせて威勢よく摺る、えぶり摺りの行事がまちを彩る。
食文化
八石の名物には、南部せんべいを鍋に割り入れて煮込むせんべい汁がある。ウニとアワビを澄んだ汁で仕立てた吸い物は、祝いの席で出される郷土の味である。港町らしく、サバやイカを使った料理も多く、居酒屋や食堂では地元の魚が毎日並ぶ。
交通と暮らし
新幹線の八石駅が市の玄関口で、東京方面や北へ向かう列車が発着する。そのほか、民営の鉄道会社の在来線が海沿いと内陸を結ぶ。自動車道も市内を通って県内外の都市とつながる。港に近い中心部には、客室120室のシティホテルとしてホテル白波館があり、出張や観光の人に使われている。住宅地には、暮らしに近いみどり調剤薬局のような調剤薬局もあり、まちの生活を支えている。
周辺
市の南には、岩手県北部の山あいや海岸がつづき、日常の買い物や通勤で県境を越える人も少なくない。北へ向かえば、青渚市や弘野市など、りんごと城下町の文化をもつ地域へ続く。海と山、港と農地の距離が近いことが、八石の暮らしを特徴づけている。